CATEGORIES
LINKS
<< 芥川賞!直木賞!決定 2 | main | ■ ニート 絲山秋子  >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
■ エンド・ゲーム 恩田陸 
4087747913エンド・ゲーム
恩田 陸
集英社 2005-12

by G-Tools

「光の帝国」の中の短編「オセロ・ゲーム」の拝島一家の物語です。「エンド・ゲーム」を読む前に「光の帝国」を読んだほうがわかりやすいと思います。それにしても・・・これは予告があった「暎子が失踪していた夫を取り戻す話」にはなっていませんよねー。まだ続編があるのかな?

正体不明の「あれ」に父を「裏返され」、母・暎子と「あれ」の存在におびえながら暮らす高校生の時子。しかし、会社の研修旅行先で母が倒れ、深く眠り続けて、目を覚まさずにいるという連絡が入ります。母は「あれ」に「裏返され」てしまったのでしょうか…?ジャンルで言うと、これはサイコサスペンスだと思われます。

時子は最強の潜在能力をもった、一族最後の人間です。物語の中で時子は、「あれ」におびえることのない普通の生活を送りたい、と、考える一方で、戦い続けてきた両親の人生や、自分の過去を否定する事も嫌だ、と、感じています。この迷う姿を見て、時子が大好きになってしまいました。こういう考え方は好きです。無力で、不安で、不便な自分を、それでも肯定しているんだから、心が芯のところで強いんでしょうね。素敵です。

常野物語のシリーズは、現代が舞台になるとこうなっちゃうのかあ・・・と、いうところが感慨深かったです。携帯電話、自動車、新幹線、コンピューター。数々の道具は、彼らの能力を、すべての人が簡単に使えるものにしてしまいました。そんな時代に彼らが在野に生きていたら、彼らはどんな人生を送ればいいんだろう。必要のない、異端視されるだけの能力を持って。

というわけで、「エンド・ゲーム」、面白かったです。けっこう複雑なプロットで、がんばったなあ、という印象。ラストは感動というより、やるなあ!やられたなあ!って感じでした。今まで、様々な事が、ただただ情緒的に処理されてきた常野物語のシリーズでは、異色の出来、と言えるかもしれません。

「光の帝国」は、大好きな本です。常野物語のシリーズ、もっともっと書いてほしいなあ。一族の歴史と言えるほどの大シリーズになってほしいです。





追記:あっちこっちのブログで、酷評されているのを見るようになりました。出版されてすぐ読んだ人たちは、恩田さんのファンか「常野物語」シリーズのファンで、だから、私のように甘い点数になったんでしょうね。やっと冷静に読める人たちの評価が、ネットに溢れてきた感じですね。

この本って、「常野物語」のシリーズの1部として評価するんじゃなければ、酷評されるのは当然だよね。私にしても、「裏返す」とか「包む」とか意味わかんないままだし。時子の能力が1度も使われないのも不自然だし。

辛口の書評をのせているブログには、さすがにトラバさせていただいたりはしていませんが・・・賛同しています。でも、シリーズファンとしてははずせない一冊だし、シリーズの一部としてはやっぱり面白かったし、次作が楽しみなのです。

(2006.2)
| あ行(恩田陸) | 05:27 | - | - |
スポンサーサイト
| - | 05:27 | - | - |