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■ 東京物語 奥田英朗 
408747738X東京物語
奥田 英朗
集英社 2004-09

by G-Tools

1970年代後半から80年代の東京を舞台にした、いわゆる青春グラフィティ。高校卒業後、名古屋から上京してきた田村久雄の、30歳になるまでを描いた、連作短編集です。

どの短編も、久雄のとある一日を切り取るという手法で描かれており、つまり、6編で6日間分しか物語はないのですが、見事に、久雄の11年間を描けているのがすごいと思います。当時を知る人なら誰もが懐かしく感じるようなエピソードが、ある時は大きな音で、ある時は小さな音で鳴り、時の流れを感じる事ができます。久雄も11年分しっかり成長して、一人前の大人になります。

どの短編も印象深くて、どの短編も良かったです。

特に好きだったのは、広告代理店の新人として、めまぐるしく働く久雄を描いた「あの日、聞いた歌」。それから、出来の悪い部下にいらだつ久雄が、ちょっと初心を取り戻す「名古屋オリンピック」。独立して事務所を持った久雄が、友人の結婚祝いに行きたいのに、クライアントに振り回れる「バチェラー・パーティー」。

でも、大学時代の甘酸っぱい思い出を描いた「レモン」や、むりやりさせられた見合いの相手に振り回される「彼女のハイヒール」もよかったです。ああ、私は仕事関係の話のほうが好きだったみたいですねー。今、感想を書きながら気がつきました。あ!それに、この本はちゃんと、主に仕事を描いたものが3編、主にプライベートを描いたものが3編っていうバランスになってるんですね。ふむ。

同じ時代に青春を過ごした人たちには、たまらない作品だろうと思います。わたしは、ちょっとはずれてしまいましたが、もちろんそれでも楽しめました。読後感の爽やかな小説でした。

ベビーブームに生まれた人がうらやましい。同世代に生きた人がたくさんいるっていうのはいいなあ。と、思います。この時代を舞台に、自伝的小説を書く作家さんって多いですよねー。たくさんの読者の、特別な共感を得られる母体があるっていうのは、恵まれていると思います。すばらしい!

私が生まれたのは、第二次ベビーブームが終わったあと。色んな「ブーム」の穴場世代です。もうちょっと早く生まれれば、女子大生ブームや、OLブームがありました。私たちは、そのころはまだ子供で、バブル期を謳歌する大人たちを下から見ていました。もうちょっと遅く生まれれば、女子高生ブームがありました。そのころには、私たちは大人になっていて、就職氷河期を経験したり、不景気の真っ只中で新入社員をやったりしていたんです。同級生たちと、運の悪い年に生まれたよね、と、話し合ったのを思い出しました。これはこれで「私の青春の思い出」ですね・・・。
| あ行(奥田英朗) | 23:51 | - | - |
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