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▲ 潤一 井上荒野 
4838714726潤一
井上 荒野
マガジンハウス 2003-11

by G-Tools

9人の女性の揺れ動く日常を、潤一が横切る。
愛とセックスと寄る辺ない一瞬を鮮やかに切り取った連作短篇集。
14歳から62歳まで、9人の女性が、潤一という青年を絡めて、自分の人生を語る連作短編集になっています。最初のほうは、誰とでも寝る男と、そんな男にひっかかる女の、セックスメインの小説って感じで、あまりにしょーもない感じしかしなくて、読むのをやめようかと思ったのですが・・・途中からそうでもなくなってきました。

切ないエピソードのてんこもり。一番印象的だったのは、潤一が抱かなかった14歳の少女の物語。犯罪を犯さなかったのは立派ですが、こういう行動ってどうなんだろうね?ラブホの前に置き去りだよ。潤一サイテー。でも、瑠依ちゃんは、まだまだ若いんだから大丈夫!的なラストの前向きさが、小説としてはいいんだか悪いんだか・・・。とにかく、印象的でした。

不倫がばれて妻に階段から突き落とされて、身体が不自由になった男と、その後、愛人から妻に昇格して介護生活を送る女のストーリーも、恐かったなあ。ぞっとした、というか、ぞっとしない、というか・・・。

最終章が、潤一本人の章ということで、潤一の新しい側面を見られるかと思ったのですが、そうでもなかったのが、少し残念。やっぱり潤一はそのまんま。裏もなく、深みもなく、そのまんまただの潤一でした。子供みたいに自由で、落ち着きがなくて、でも不必要なところで無駄に真面目で。たくさんの女たちに愛されているのに、孤独な男。・・・・・・・っていうか男の子。そのまま歩いて歩いて、どこにもたどり着けなそう。

潤一も、女たちも、本当にどうしようもない人たちなんだけど、どこか憎めなくて。誰も幸せじゃないことが、切ない本でした。読み終わってから表紙を見ると、またいちだんと切ない。
| あ行(井上荒野) | 14:39 | - | - |
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