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■ あの日にドライブ 荻原浩 
4334924727あの日にドライブ
荻原 浩
光文社 2005-10-20

by G-Tools

エリート銀行員だった牧村伸郎は、部下のために、支店長にうっかりたった一度逆らってしまったためにリストラ。なかなか望みどおりの再就職先がなく、つなぎにと、タクシー会社に運転手として就職します。

タクシー会社の運転手としては初心者で、やる気もない牧村は、営業ノルマを達成できない毎日。激減した収入に、妻はパートづとめをしなければならなくなり、娘は反抗期で、家にはいづらい。ストレスからくる円形脱毛症と、タクシー運転手の職業病各種に悩まされ、「俺の人生はどこで間違ってしまったのか」と、ひたすら鬱々とします。この鬱々は、やが妄想を生みます。学生時代につきあっていた彼女と別れなかったら。夢だった出版社に就職をしていたら・・・。

この妄想が、色も匂いもあるような、精密さで描かれます。牧村が、このどん底の精神状態から、そして妄想の世界から、這い上がっていく再生ストーリーです。牧村がタクシードライバーという仕事に慣れ、少しずつ、気持ちが上向いていき始めてからは、楽しく読めました。

「タクシードライバー」業界について、ユーモラスに描かれていて興味深かったです。ドライバーたちが個性的で、いい味出しています。それに、牧村の家族たちも、けっこういい味出してました。

ただ、ストーリー展開が弱い、というか、物語の面白さが、荻原さんにしては弱い気がするのです。元エリートのプライドを捨てきれず、自分の運のなさを嘆き、牧村がひたすら暗くしずんで、鬱々と妄想する前半が、とにかく長く感じられて。我慢の読書でした。あんな理不尽な職場、やめられて良かったじゃん、などと思ってしまったので余計に。

後半は、ややご都合主義ながら、荻原さんらしくとても楽しく、感動的だったので、我慢して読んでよかったのですが。さすが荻原浩さん、と、最後には思ったのですが。
| あ行(荻原浩) | 23:30 | - | - |
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