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● サウスバウンド 奥田英朗 
4048736116サウス・バウンド
奥田 英朗
角川書店 2005-06-30

by G-Tools

主人公は、東京中野の小学生・二郎君。二郎君自身は、マンガの好きな、いたって普通の少年なのですが、両親が元過激派で、かなり変わっています。特に、父親はすごいです。公務員は国家の手先とばかり、誰彼かまわず食ってかかり、税金も年金も断固として払わず、とうとう「国民をやめる!」などと言い出すしまつ。しかも、いつか作家になると言いつつ、無職でずっと家にいる。

充実した小学生ライフを送っている二郎君ですが、そんな父親のせいで、周りから次第に浮いていきます。当然、二郎君は父親の考えについていけず、反発心をいだくばかりです。そして一家は、波乱万丈の展開のはてに、とうとうすべてを捨てて沖縄へ移住する事になります。

ここまでが、第一部です。「波乱万丈」の中身がとっても面白いので、ここには書きません。舞台は中野なんですが、なんとなく、昔の下町っぽい雰囲気があります。子供たちがどことなく素朴で、地域に密着した感じが、懐かしさを出しています。第一部単独でも、いい本です。最後に二郎君の下す決断が、感動できると思います。

さて、第二部・沖縄編ですが。意外なことに、あのとんでもない父親が、この土地ではしっくりなじむんです。もちろん、住民登録をせずに勝手に住み着き、学校には行かせない、公営住宅には引っ越さない、と、国家に対する反抗は健在です。相変わらずの破天荒ぶりで、周囲を驚かせます。でも、中野にいたときほど、とんでもなく傍迷惑で、どうしようもないやつには見えなくなってきます。不思議ですね。周囲の人に、心のゆとりがあるからでしょうか。

ここで一家は、リゾートホテルの建設問題に巻き込まれる事になります。国家や資本家には敵意むき出しの父親ですが、だからと言って、市民運動家たちとつるんだりはしないんですよね。父親の、一本筋が通っている部分が、少しずつ見えてきて、なかなか爽快です。
この期に及んで金の心配か。運転手の体でも案じてやったらどうだ。
のシーンには、本当にすっきりしました。

二郎君も、父親の行動の理由や、家族に対する愛情や、母親が父親に対して持っている愛情を、少しずつ理解できるようになってきます。小説の中で家族の迎えるラストは、想像を絶していて、びっくりしてしまいました。ありえねーっつーの!って感じです。素敵でしたけど。

長い本ですから紹介しきれませんが、たくさんの個性的なキャラクターが出てきて、その一人一人がきっちり描かれています。私が印象に残ったのは、南先生と、ベニーさんです。それからエピソードも一つ一つ面白いです。いい本でした。オススメです。
| あ行(奥田英朗) | 16:47 | - | - |
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