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▲ さくら 西加奈子 
4093861471さくら
西 加奈子
小学館 2005-02

by G-Tools

家族をテーマにした物語は、基本的に好きです。この本も、読んでいる間は、変な家族の波乱万丈の物語として楽しみました。幸福だった家族の、崩壊と、再生の物語。ストーリーは面白かったです。兄と妹に挟まれた真ん中の子供、という微妙な視点も興味深かったです。

でも、作者は「変な家族」を描いたつもりはないんでしょうね。特に昔の思い出を回想する部分は、理想的な暖かい家庭を描いたつもりなのでしょう。そのあたりが、どうもこの本を手放しではほめられない理由かもしれません。キャラクターになじめなかった・・・。

主人公が、やたら家族を絶賛するのが、気持ち悪いというか、リアルじゃない気がしました。兄は「レジェンド」になるようなヒーローで、妹は誰もがふりむく超美少女でありながら、ケンカの達人。兄の彼女は薄幸の美少女。妹の友達はレズビアン。アニメか、恋愛ゲーム的なキャラクターなんですよね。元気でおしゃべりな母親と、穏やかで優しい父親というのも・・・。典型的ならまだましなんですが、理想的、しかも誰かの個人的な理想って感じで。サザエさんのほうがまだリアル。

その家族が、兄の事故をきっかけに崩壊していくわけですが、その展開も読み終えてみると、どこか不自然で安易。そんなに立派な兄が、こんなに素敵な家族に囲まれていながら、障害を持ったからってあっさり自殺しちゃうなんて、安易。妹も、妹の秘密を知った父と主人公も、兄の元彼女を探そうとしなかったあたりが、不自然。それに、自殺だけじゃなくて、レズとか、性同一性障害とか、失踪とか、アル中とか、摂食障害とか、あらゆるものの描写がやたらと安易。つめこみすぎ。

それに肝心の「さくら」ですが、登場する必然性はあったのでしょうか。家族の幸せの象徴という位置づけなのですが、幸福描写としては、妹の誕生のほうがインパクトがあるので、「さくら」はいらないんじゃ・・・と、読みながらずっと思ってしまいました。終盤のさくらにまつわる展開も、ご都合主義すぎる気がしてしまって・・・。イヌを使えば泣ける小説になるってわけじゃないでしょう?なんだかなあ。

嫌いなタイプの本じゃないはずなんだけどなあ。実際、面白かったし、楽しんだんだけど・・・。入り込めなかったし、泣けませんでした。残念です。

単に、よい評判を聞きすぎていたからかも。ファンの方、気を悪くしないでね。
| な行(その他の作家) | 00:10 | - | - |
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