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■ 羽の音 大島真寿美
4652071981羽の音
大島 真寿美
理論社 2001-05

by G-Tools

骨がぎしぎし鳴るたびに、焦るようになった。しかし、焦ることはないのだろうと、今、思った。むくむくを待つことにする。
ふと糸が切れたように学校へ行く気がしなくなった高校生・菜生。婚約者がいるにも関わらず、初恋の人透樹が忘れられない事に気づいた姉・花保。両親の離婚で二人暮しになった家で、プチひきこもり状態になった菜生の1ヶ月を、1日1日丁寧につづっています。初雪の1日のエピソードが切なくて、印象的でした。ラストシーンも前向きでよかったです。

タイトルの「羽の音」は、菜生の恋人(?)で神経科に入院中のミキオが、「背がのびているみたいで、骨がぎしぎしいう音がする」と言ったのに対して、菜生が「それ、背が伸びるんじゃなくて、羽が生えるんじゃないの」と、答えたセリフから。

「誰でも一度は経験がある・・・」と、書こうとして、「いや、違う。」と、思いました。たとえば、この本に出てくる北山さんのような人は、こういう時間をすごしたことはないような気がします。もちろん、ふられたりすれば、落ち込むだろうし、悲しんだり、傷ついたりもするんだろうけど。ただ静かに、ひざを抱えて、季節が過ぎるのを眺めるだけの時間が、必要な人と、そうでない人がいるのかもしれない。それは、幸・不幸とは関係がないような気がします。作品の感想からは、少し脱線してしまいましたが。

さて。この本は、最初の8ページが絵です。おそらく菜生の描いた絵、という設定かな?と、思うのですが、静謐な印象の文章に比べると、ものすごく荒々しくていびつな絵なんです。これぞ羽化する直前、という感じが切々と伝わってくる絵です。絵と文章は対称的なんですが、すごくいいんです。あわせて1つの作品という感じがします。
| あ行(大島真寿美) | 22:40 | - | - |
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