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■ さよなら妖精 米澤穂信 
4488017037さよなら妖精
米澤 穂信
東京創元社 2004-02

by G-Tools

ミステリ・フロンティアから出ているので、もちろんミステリーの要素もありました。でも、基本的にこれは、「ボーイ・ミーツ・ガール」の青春小説でした。

1991年。ユーゴスラヴィアから日本に来たマーヤという少女と、4人の高校生が知り合い、2ヶ月という短い期間ですが、友情を育みます。主役は、守屋という、夢も目的もない、ごく一般的な男子高校生。彼は、自分の国の未来を真摯に考え、ユーゴスラヴィアの新しい歴史をつくるべく、学習に余念がないマーヤに、次第に惹かれていきます。他人にも物にも無関心であった守屋に、友人ができ、ユーゴについて勉強するようになったりするあたりが、すごく青春小説です。どうやら、守屋に好意を寄せているらしい頭のいい少女が出てくるところも、青春小説。

しかし、マーヤは内戦のはじまったユーゴに帰国してしまいます。ミステリーとしての「謎」は、マーヤが、ユーゴスラヴィア連邦の中の6つの国のうちどの国に帰ったのか?という点です。比較的安全な国なのか、それとも戦地か。ラストで守屋は、日本にいたころのマーヤの言動の端々を、自分の日記から思い出し、そして結論にたどりつきます。

というわけで日常の謎系ミステリーなんですが、まあ、ミステリーとして読んだら、つまらない本です。ストーリーに、山もないし、リアリティもないし、オチも弱い上に、さきがよめてしまう。

でも、キャラクターがとてもいいんです。守屋はどこかにいそうな高校生で、感情移入しやすいですし、マーヤは今の日本人にはいないような、しっかりした目的と壮大な夢をもった魅力的なキャラクターです。私個人としては、センドーに一番感情移入していました。おそらく、守屋よりずっと先に真相に気づいてしまったであろう彼女は(おそらくマーヤに知らされる前に気づいてただろうな・・・)、マーヤの事を「忘れたい」と言ったのです。たぶんセンドーは、守屋をすごく好きだったんだろうなあ、そして、マーヤのことも好きだったんだろうなあ。

この本は1992年が舞台ですが、私たち21世紀の人間は、その後10年のユーゴの惨状を知っているわけで・・・うーん、非常に切ない本です。

ミステリーファンにはオススメできないんですけど、ジャンルにとらわれず、本が好きという人には、オススメします。いい本でした。あとは・・・現代史と政治経済の苦手な中高生に読ませたい、かな。(職業病)
| や行(米澤穂信) | 10:24 | comments(13) | trackbacks(13) |
コメント
ゆうきさん、こんにちは。
汗が飛び散るわけではないけど、青春でしたね。知恵系の青春とでもいうか。
守屋くんが今後どういうことを学び何を糧にするのか興味があります。青年海外協力隊に参加するとか、政治関係を考えるとか国際紛争を考えるとか貿易関係に進むとか・・・。若いときのこういう刺激って大きいですよね。
| 斎藤れい | 2007/07/10 4:20 PM |
え、文庫化されたんですか?
それは知りませんでした。早いですね〜。。。
もっと色んな人に読んで欲しい本なので嬉しいです。
いろんな意味で新鮮な本でしたよね。
今も、毎日、戦争のニュースばかりですね。
身近にレバノンやイスラエルの方はいらっしゃらなくても、
真剣に受け止めたいと思ってみています。
それに、日本にとっても、戦争は今、他人事ではありませんしね〜。
コメント、ありがとう。
| ゆうき | 2006/08/14 11:44 PM |
ゆうきさん、こんにちは。
ぼくも文庫化されたので、読みました。
謎解きは確かに物足りないですね。
でも、守屋たちのように、ユーゴに自分と親しく関わった人がいたとしたら、あの戦争を、人ごとのように受け止めることはできなかっただろうなという気はします。
高校生が、今も世界のどこかで起きている「悲劇」に触れるという内容は、単なるミステリーという枠を越えて、ぼくには非常に新鮮に感じられました。
TBさせていただきました。
| touch3442 | 2006/08/14 5:25 PM |
そうですねー。
わたしも反省しました。
どんなに交通手段が発達しても世界はやっぱり広くて、
遠い国の悲劇は、他人事になってしまいますね、どうしても。

この本で米澤さんは、ラノベ以外も書ける事が証明された気がします。
| ゆうき | 2006/06/28 10:17 AM |
こんにちは♪
評判の「さよなら妖精」文庫になったのでやっと読めました。
最初、日常の小ネタ系の謎解きが続いた時はちょっとどうなの?と思いましたが、おまけに、結末も予想できましたが、それでも、最後の怒涛の謎解きは読み応えがありました。
他人事としか感じてなかった当時の自分を思い出して恥ずかしくもなって見たり。
うん、いい本だと、しみじみ思いました♪
| かずは | 2006/06/27 10:01 PM |
そうですねー。
いちいち検証しなくても、
ストーリーから分かっちゃいますよね。ラストは。

でも、ハラハラドキドキの本でしたね。
いい本だったなあ。
こめんとありがとう。
| ゆうき | 2006/02/28 12:28 AM |
青春小説でしたね。
私も登場人物、一人ひとりが好きです。

私もいわゆる「現代史と政治経済の苦手な大人」ですが、
物語の流れから、あのラストは予想できました。
だけど、謎を解く守屋の苛立ち・焦燥感が伝わってきて、
ドキドキしてしまいました。
| なな | 2006/02/27 9:56 PM |
こんにちは。
コメント&ブログありがとうございました。
わたしは、塾講のバイトをしていて、
現代史も最近教えることになって、勉強中で、
色々と予備知識をば〜っと思い出してしまったんですよね。
で、ラストをあててしまいました・・・。
驚きそびれて、もったいなかったです。

でも、謎を解くのは、センドーだと思っていたので、
守屋が自力で謎を解けたときは、ちょっとびっくりしました(笑)

では!
| ゆうき | 2005/12/08 1:56 AM |
はじめまして。TBさせていただきました。
おっしゃるとおり「ストーリーに、山もないし、リアリティもなかった」ので、淡々と終わるであろうと思っていた私自身には、結末はそれなりに衝撃的でした。
これからもよろしくお願いします。
| 流石奇屋ヒット | 2005/12/07 11:09 PM |
わたしも、世界情勢にはうといんです・・・実は。
偉そうな事はいえないんです。
でも、塾講師のアルバイトをしているので、
あんな事を思ったんですね。
わたしも、反省、です。

コメントありがとう!
| ゆうき | 2005/12/06 9:58 PM |
読みました〜。
ゆうきさん言われるところの
「現代史と政治経済の苦手な大人」でしたが
ちょっと反省しました。勉強しよう…
政治経済,自国のは割と注目してるんですが
世界情勢にはうといので。
ほんとに,いろんな人に読んでもらいたい作品ですね。
| mamimix | 2005/12/06 6:47 AM |
センドー、痛々しいキャラでしたよねー。
彼女を主役に、素敵な王子様のあらわれる、
ベタベタの少女漫画を読みたいですね(笑)

コメントありがとう♪
| ゆうき | 2005/11/08 11:08 PM |
ゆうきさん、こんにちわ!
たしかにミステリーとしてはちょっと・・・でした。
でもキャラクターはよかったですよね。

>守屋よりずっと先に真相に気づいてしまったであろう
「ああ、そうか・・」と、今更気づきました。彼女のことだからきっとそうですよね。センドーは名前と自分のイメージといい、強さが痛々しかった・・。
| june | 2005/11/08 12:55 PM |
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