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★ 明日の記憶 荻原浩 
4334924468明日の記憶
荻原 浩
光文社 2004-10-20

by G-Tools

若年性のアルツハイマーにかかったサラリーマンの主人公の一人称で、物語は進みます。彼の父親も、老人性のアルツハイマーで亡くなっており、彼はその末期的な状況を知っていますから、始まりはショックと、死への恐怖です。

でも、彼にはサラリーマンとしての日常生活があります。営業マンとしてのプライドもあります。抜け落ちていく記憶をつなぎとめようと必死でメモをとり、せめて娘の結婚式までは営業部長でいたい、とがんばるけれど病状は深刻になり、会社に病名がばれて左遷される。信頼していた陶芸教室の先生に、病気のことをうちあけると小金を騙し取られる(ひどい!)。彼の姿はほんとうに哀しいです。それでも娘の嫁ぐ日まで必死にがんばったあと、彼は会社をやめ、少しづつ病気を受け入れて行きます。介護者となるであろう奥さんのために、こう決意する場面は泣けました。
私は決めた。自分ひとりで自分の入所する施設を探すアルツハイマー病患者ーそんな人間が世の中にどれくらいいるのかわからないが、私はそうせねばならない。手遅れにならないうちに。
救われるのが、奥さんの枝実子さんの愛情と、強さ。仕事人間で家族サービスなどほとんどしてこなかった主人公を、きちんと愛しているんです。支えあって送ってきた結婚生活の重みが、彼女を強くたくましくしています。本当にいい女です。夫婦が黄昏の山で演じるラストシーンは、泣きそうでした。
| あ行(荻原浩) | 01:23 | - | - |
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