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▲ サウンドトラック 古川日出男 
4087746615サウンドトラック
古川 日出男
集英社 2003-09

by G-Tools

とりあえず大作でした。なんか、読み終わったら、どっと疲れた感じ。読み応えはありました。

前半は、かなり面白かったんです。2人の主役の子供時代、ヒツジコとトウタの出会いと成長を描いた部分は、波乱万丈、息もつかせぬ展開で、ぐいぐい引き込まれました。南国の孤島での、子供だけのサイバイバル生活。発見され、保護され、学校に通うようになった2人の変化。やがて訪れる別れ。

ところが・・・舞台が東京に移ったあたりから、わけがわからなくなってきます。帯には「近未来東京をsurviveする少年・少女たちの21世紀型青春巨編」と書いてあります。とすると、東京編がメインなんですよね。それに「だって、あたしはこのリフジンな世の中を本当に愛しているもの。」とも、書いてあります。ということは、ヒツジコの女子校時代が重要なんでしょうね。

ヒツジコが、ダンスによって、何か壮大な破壊をやろうとしているらしいのはわかります。でも・・・その動機や目的がちゃんと描かれてない。っていうか、わたしには読み取れませんでした。ヒツジコの愛に飢えた感じはわかります。で、それで、よし踊りまくろう!も、まあわかる。でも、東京を破壊しよう!にいたる思考は…わけがわからない。ヒツジコがそう思っていたのかもはっきりしないし。しかも、当然のことながら、どんな奇妙な力を持っていたって、たかが数名の女子高生のダンスで、東京が破滅するわけもなく…。トウタのほうは、ヒツジコよりさらに何を目指してるのかわからない。ただたんに、surviveすること、なのかな?

トウタの孤独にはとても同情していたので、最後の数行は嬉しかったです。よく考えたら、ヒツジコとトウタって、ほとんど絡みがないんだよね。2人とも無口キャラだし、言葉がなくても何かが通じ合っているはずだ、という先入観を植え付けられていて、だから読書中は違和感がなかったんだけど。そもそも古川さんの文体って、会話文を最低限に抑える系だし。でも、主役のはずの2人の会話や、絡むエピソードが少ないって、かなりもったいないよね。このラストシーンのあとを描くか、あるいは島の学校編や東京編で、2人の絆を感じさせるエピソードがあったらよかったなあ。

南国編部分がすごく印象的だし、ページ的にも長いのに、はっきりとは後半への伏線になっていないのが、変な感じ。それに「近未来」という設定も、トウタの「音痴」も、あんまり生きてない。前半が面白かったので期待しすぎたせいかもしれないけど、後半失速した感じ。残念。
| は行(古川日出男) | 23:43 | - | - |
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