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▲ 僕の行く道 新堂冬樹 
4575235148僕の行く道
新堂 冬樹
双葉社 2005-02-09

by G-Tools

ネタバレあり!

主人公・大志は小学校三年生。父親と二人暮し。母親はファッションデザイナーで、パリに単身赴任中で、大志は2歳のときから一度も母親に会っていません。毎週土曜日に届く、母親からの手紙を楽しみにしています。大志は典型的な鍵っ子で、寂しがりやですが、素直で、優しくて、とてもいい子です。

その大志が、母親が日本にいる証拠と思われる小豆島の写真を、父親の本棚から見つけてしまったことから物語が始まります。「母をたずねて三千里」ではありませんが、母親に会うために、大志は旅に出ます。東京から小豆島まで、父親には内緒の、はじめての一人旅です。小豆島には母親が住んでいるんだと、大志は信じています。小豆島についたら、母親に会って、一緒に暮らしてくれと頼む、それが、旅の目的です。

波乱万丈の旅の最後に大志が知る真実とは・・・。ラストは予想外で、ちょっと感動でした。てっきりお母さんは、死んでるか、離婚してるかだと思ってたから。ネタバレですけど、お母さん、若年性アルツハイマーで施設にいます。まだ記憶があるときに、「大志をつれてこないように」と言い残していたんです。親子愛の物語でした。

でも・・・。色々と、惜しい!というか、中途半端な本なんですよ・・・。流行にのってはみたものの、どっか、はずしちゃってるんだよなあ、というか。私が、あまり本を読まない人間で、映画もドラマもあまり見ない人間で、珍しく手に取った本がこれだったら、感動して泣いたかもしれません。子供にも読ませたいくらい、いい本であることは確かなんですけど。

親子愛がテーマで、それは流行とは関係のない普遍のものなんだと思います。「若年性アルツハイマー」「記憶喪失」も、目新しいテーマじゃないけど。やっぱり、今、はやってるよね・・・。書籍だと「博士の愛した数式」や「明日の記憶」や「君に読む物語」が売れまくったし。ドラマの「Pure Soul」は韓国映画「私の頭の中の消しゴム」として日本でもヒットしそうだし。ああ、「明日の記憶」も映画化されるんだよね。ちょっと違うけど「いま、会いに行きます」のお母さんも記憶なくしてたしなあ。

子供の成長を扱った、ロードムービー的な小説に仕上げるか。母親の病気のほうをメインに、涙々の物語に仕上げるか。どっちかに絞って欲しかった。どっちつかずで、中途半端に終わってしまった気がする。私の希望は前者なんだけど、それにしては、出会う人がみんな善人ばかりで、大志君は旅の途中で、特に成長する必要にせまられない。その善人な人たちとの交流でも「ああ、なんていい子なんだ!」という感想しかもてないし・・・。彼らから渡される、手紙や電話番号も何の伏線にもならずに宙に浮いたままだし。出会えた母親も、自分を捨てたわけではなかったりするから、結局、大志君の成長物語としては弱い。

後者だとしたら、子供目線より、夫目線のほうが泣けるに決まってるから、大志君を主役にした時点で失敗でしょう。というわけで、ああ、惜しい!という小説でした。

最近の新堂さんの作品をいくつか読んだんですけど、全部同じ感想です。いい話なんだけど、ぱくりっぽい上に、なんか惜しい!もしかしたら私は、「黒新堂」と呼ばれている、ちょっと前の新堂作品のほうが好きなのかもしれません。何を読めばいいかな?
| さ行(新堂冬樹) | 22:23 | - | - |
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