CATEGORIES
LINKS
<< ▲ 僕のなかの壊れていない部分 白石一文  | main | ■ ロズウェルなんか知らない 篠田節子  >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
■ High and dry (はつ恋) よしもとばなな
4163231609High and dry (はつ恋)
よしもとばなな
文藝春秋 2004-07-23

by G-Tools

とにかく、表紙がかわいい!山西ゲンイチさんの装画と挿絵が、キュートでラブリーで、素敵。挿絵も口絵も全部カラーですっごく贅沢な気分になれます。

ただ・・・この本の内容は、この絵と合っているとは、言えないような気はした。もっと大人っぽい絵のほうがいい、と、私は思いました。

14歳の夕子の初恋。相手は20代後半の絵画教室の先生で新進気鋭の芸術家でもある、キュウくん。とある「奇跡」によって、2人の仲は急接近しますが、当然のことながら、はじめは夕子は相手にされていません。そして、キュウくんは今はフリーとはいえ、ちゃんと元彼女たちが周囲にいて、思ったり思われたりしています。

夕子の一人称で物語は進みます。恋する14歳であることの無力感や、悔しさは、リアルに伝わってきて、切なくて甘酸っぱかったです。14歳がテーマの本というと、援交・薬中・いじめ・自殺・拒食などなど、暗くて重い話が多いので、この本には心を洗われる感じがしました。
キュウくんは私が寝ていてもキスしたりしないし、ぎらぎらした目で眺めたりしない。そういう人はいるんだよ、ほんとうに。もっと大事なものの後にそれが来る人が。
と、ラスト近くで夕子が、心の中で言います。一瞬は「純愛」だなあ、と、心地よかったんですけど、すぐにちょっと待て、と、思いました。つまり、キュウくんは、夕子の成長を待つのかなあ。少なくとも、夕子はそれを願っているんだよね・・・。でも、大人になってしまった私の目から言わせてもらうと・・・それってどうなんでしょう?キュウくんって、自分のために大好きな夕子が絵画教室をやめてしまったのに、そのことはあまり重視してない。二股経験もあるくらい、ずるい所のちゃんとある普通の男の人だし。今でも自分の事を好きなミホさんを、必要なときにはちゃんと利用しているし、きちんと好きな人は他にいる。夕子の気持ちを知っていて、夕子との関係を続けるキュウくんは、誠実に見えて・・・ずるくないですか?それに、プラトニックに見えるけど、この関係かなりエロくないですか・・・?

この本は、初恋の話でもあるけれど、親子関係の本でもあります。夕子の母親の「友達みたいだけどちゃんと母親なのよ」的なものわかりの良さは、すごく不自然でした。自分の家族の関係を分析する夕子が、特に後半、大人びていすぎるのも、かなり違和感があります。(大人になった夕子が当時を分析しているのならわかるんですけど・・・。)それに、登場する親たちが、「子供を愛しているけど社会的欠落のある変人」という、似たようなキャラクターで、ちょっとは書き分けようよ、とも思いました。こんな本にもしっかりアニミズム的な要素が入っているところが、よしもとばななさんだなあ。
| や行(よしもとばなな) | 22:51 | - | - |
スポンサーサイト
| - | 22:51 | - | - |