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★ れんげ野原のまんなかで 森谷明子 
448801710Xれんげ野原のまんなかで
森谷 明子
東京創元社 2005-03-01

by G-Tools

これはすごく好きなタイプの本。一応「日常の謎」のジャンルに入るミステリー短編集。私の大好きなこのジャンルは、北村薫さんという大御所がでーんといて、後から出てきた作家さんたちは、彼をどうしても超えられない(あくまでも私見)。どうしても2番煎じ、3番煎じに見えてしまう(これも私見)。最近なんとなく、そんな閉塞感を感じるジャンルだ(私見!)。

この本もやっぱり、2番煎じ感はある。特に光原百合さんには酷似。でもまあ、それは、作品自体の欠点ではないよね。読むほうが、書くよりずっと速く簡単にできちゃうんだから、好みの作品を書いてくれる作家さんがたくさんいるにこしたことはない!

「れんげ野原のまんなかで」は、「日常の謎」系のほのぼの感を残しつつ、少しだけ重さや棘のある作品。光原百合さんの「時計を忘れて森へ行こう」を読んで、「これはこれで好きなんだけど、もう少し甘さ控えめでお願いしたい」と思った私には、ちょうど良かった。(光原百合さんも好きですけど)

図書館が舞台であるというところが、まずツボ。図書館の裏側というものを少し見れて、業界(?)小説としても楽しめました。季節感をとても重視している文章で、そのあたりも癒し系。それから、子供の頃から本が好きだった人には、「あ!懐かしい!」という児童書が出てきます。タイトルがはっきり書いていないのがまた、「わかった!あれのことだよな〜。」という満足感というか、優越感に似たものをくれます。美術館に家出するクローディアや、借り暮らしの小人の物語、私も子供の頃大好きでした。

5つの短編が収められているのですが、1話から3話までは、ほのぼの系の事件だけど、4・5話では過去の暗い変死事件を扱って、ひきしまった本になっています。特に5話は、よかったです。突然本棚に紛れ込んだ、廃校になった中学校の蔵書から、一人の少年の過酷な人生が明らかになっていく。しっかりしたストーリーで、読み応えがありました。つらい話だったけど、後味も良かったしね。4話も印象的でした。

シリーズ化を望みますが・・・無理かなあ。弱点は、キャラクターが弱い事、なんですよね。主人公の文子は、まあ、いいんです。語り手で、ワトソン役なんだし、弱いくらいでちょうどいい。でも、図書館の他の職員、探偵役の能勢さん、有能な日野さん、館長、この辺りのキャラが強く出てくると、シリーズ化しても面白いと思う。この本では、大地主の秋葉さんや、図書館の常連さんたちのほうが、キャラがたっているというのが、ちょっと惜しい。
| ま行(森谷明子) | 02:37 | - | - |
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