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● 子どもたちは夜と遊ぶ 辻村深月
4061824295子どもたちは夜と遊ぶ(上)
辻村 深月
講談社 2005-05-10

by G-Tools

4061824309子どもたちは夜と遊ぶ(下)
辻村 深月
講談社 2005-05-10

by G-Tools

ネタバレありあり!

アメリカ留学をかけた論文コンクール。同じ大学に通う、努力家の秀才・狐塚と、天才肌の美青年・浅葱の二人が、最優秀賞候補と目されていた。しかし、選ばれたのは「i」という謎の人物で、その論文は、二人の力量をはるかにしのぐものだった。

2年後。「i」の正体を探っていた浅葱は、「i」から意外な事実をつきつけられ、そして、悲しい殺人ゲームが始まる・・・。

ミステリーというよりは、サイコホラーというか・・・病んだ人間と、ゆがんだ人間関係を描いた小説としてオススメ。(一応、童謡の見立て殺人とかもやってるんだけどね・・・。)うん。大学生ってのは、本当に子供だよね・・・。だって高校生の次は大学生なんだから、こんなものでしょう。

ストーリーの割に登場人物が多くて、しかも心理描写が驚くほど丁寧です。縦軸は、狐塚と浅葱の大学仲間を中心に進んでいくのですが、そこには狐塚の彼女・月子、同居人・恭司、狐塚と浅葱の先輩・荻野さん、月子と同じゼミの真紀ちゃん、そのゼミの担当教授秋山、月子の友人・紫乃といった人々がいます。全員主要キャストです。

これだけの数の人間の、過去や、事情や、複雑に絡まるそれぞれの思いを、しっかり描いていて、色んな人に感情移入させられてしまいます。うまいです。やはり、浅葱の暗い過去というのが、一番の目玉でしょうが、わたしは月子&紫乃の「病んだ恋人同士」のような友情の描き方にもしびれました。うまい!

だからこそ、下巻の怒涛のストーリーが本当に切ないのですが、上巻がだれた感じは、なきにしもあらず。

これ以外にも、平行して語られている、赤川翼という少年のストーリーもあるし、構成は複雑です。緻密にはりめぐらされた伏線あり、小さなどんでん返しが随所にあり、なんというか・・・メフィスト賞作家さんらしい本です。読みがいがあります。

このぐらいでいいかな?もう、ほんとにネタバレするよ。

ミステリーだと思って読んだけど、最後まで読んだら、この本ったら、純愛本だった。かなり切ないラブストーリー。そんなあって感じ。泣ける!

月子が浅葱を好きだって事は、かなりわかりやすく書いてあって、ばればれだったので、てっきり、月子が、狐塚から浅葱にのりかえる話なんだと思ってしまいました。月子と狐塚の関係に関しては・・・叙述トリックというより、もう「嘘」の領域だよね・・・。わたし、叙述トリックは大好きで、してやられた時は本当に快感なんだけど、ここまで来ると・・・わたし的に、ギリギリアウト!だって、この本「狐塚孝太と別れるかどうかが、今日決まる。月子は・・・」って始まるんだよ。浅葱じゃなくても騙されるって。とにかく浅葱が可哀相でした。

浅葱と恭司はもちろん病んでいるんですけど、二人が「健全だ」と、羨んでいる狐塚と月子も、かなり病んでるんだよね。っていうか、二人の家庭が病んでるんだね。月子と母親の関係は、遠慮がありすぎて気味が悪い。孝太と月子の関係も病んでると思うなあ。兄妹でお揃いのストラップをいつまでも使い続けてるなんて、なんだかなー。確かに、本人が独白しているように、月子と紫乃の関係が病んだのは、月子のせいなんでしょうね。

それから、「i」の正体という一番の謎のオチが、ちょっとしょぼかった。ミステリーとしてはあまりに安易。その手前まで、浅葱=「θ」と月子のストーリーが山場をむかえるまでが、すごく良かったのでとても残念。

そこまでが本当に、良かったんだよねー。月子と狐塚の関係がはっきりしてから、浅葱と月子が対決するまで。作者、力入ってますって感じで。読むほうも、本を持つ手に力が入るというか、ページをめくるのももどかしいというか。かなりテンションが上がっていたので・・・なんかこけました。最後、恭司くんがかっこよく持ち直してくれて、多少救われたけどね。

というわけで、一番好きなキャラクターは、恭司です。彼の言葉を1つ引用♪
人間てのは、大好きな人が最低一人は絶対に必要で、それを巻き込んでいないと駄目なんだ。そうでないと歯止めがかからない。
かっこいいなあ。結局彼が、一番大人だと思う。秋山教授なんて、単なる変態親父だし。(あ、でも、真紀ちゃんの彼氏になんて言ったのかは気になる)

まあ、この感想の長さからわかるとは思いますが、色々つっこみどころはあれど、わたしはこの本好きです。盛り上がりました。
| た行(辻村深月) | 00:23 | - | - |
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