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● 邪魔 奥田英朗 
4062097966邪魔
奥田 英朗
講談社 2001-04

by G-Tools

渡辺裕輔、いわゆる不良の高校生。仲間の弘樹・洋平と共に、夜の街で遊び暮らす毎日。ある日3人が親父狩りのターゲットに選んだ男は刑事の九野だった。3人は、九野に逆襲され、怪我を負う。

及川恭子、34歳。サラリーマンの夫、子供二人と東京郊外の建売り住宅に住む。平凡だが幸福な生活をおくる、引っ込み思案で、おとなしい主婦。しかしパート先の、雇用条件をめぐる闘争に巻き込まれ、次第に変貌していく。そして、夫の勤務先では放火事件がおき、恭子は夫を疑い始めて・・・。

九野薫、36歳、刑事。7年前に最愛の妻を事故でなくして以来、義母を心の支えとしている。不眠症で精神安定剤を常備。同僚・花村には、素行調査を担当した事から逆恨みされている。小さな放火事件を執拗に追い、恭子の夫・及川に疑いを持つ。

上の三人の視点でつむがれる犯罪小説です。事件自体は小さな放火事件ですし、犯人はかなり早い段階で明らかなのですが、そこに警察組織内部の暗黙の了解や、一人の男としての警察官たちの事情、警察と企業や暴力団との癒着、共産党系の市民運動団体など、さまざまな思惑がからまって、複雑で奥の深い物語に仕上がっています。

登場人物がとにかく多いし、視点が変わるので、最初のうちはちょっと読むのに苦労しました。でも、いったん物語に引き込まれてしまうと、どんどん読み進む事ができました。終盤の展開は本当に目をはなせない、という感じです。恭子が追い詰められていく様子は、あまりにリアルで鳥肌が立ちます。九野もやはり追い詰められているのですが、彼はかっこいいですねー(個人的好みですが(笑)。裕輔と仲間たちの、しょうもなさも、リアルです。

平凡な日常が足元から崩れていく恐怖。人間の本性がむき出しになる瞬間。人を狂わせる深い孤独。そういうものが確かな筆致で描かれていて、読み応えがありました。

このミスで2位になってるんですよねー(ちなみにその年の1位は宮部みゆきさんの「模倣犯」)。わたしはなんで今まで読まなかったんだろう?不思議。今回この本を手に取ったのは、「空中ブランコ」「イン・ザ・プール」で奥田英朗作品を読んで面白かったからなのですが、こういうリアルに重い犯罪小説を書かれる方なんですね。全然雰囲気が違うので驚きましたが、この本も、とてもよかったです。
| あ行(奥田英朗) | 20:28 | - | - |
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