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■ 間宮兄弟 江國香織
4093874999間宮兄弟
江國 香織
小学館 2004-09-29

by G-Tools

感想書くの、難しいなあ・・・この本。

生真面目で、多趣味で、人に優しく、努力家。でも、外見に恵まれず、性格も要領が悪く、おたくっぽい雰囲気もあってもてない。年齢=彼女いない歴で、「ありえない」男兄弟のむさくるしい二人暮し。2人はたくさんの思い出を共有し、2人にしか通じないたくさんの言葉や気持ちがあり、都会のとあるマンションで、静かで満ち足りたときを送っています。なんでも、「女の尻を追いかけるのをやめたら、平安が訪れた」んだそうです。

しかしこの夏、二人にちょっとした出会いがあります。二人が企画したカレーパーティーをきっかけに、何人かの女性に出会い、二人はそれぞれに恋をするのです。

ここからは少しネタバレですが。

なんだかんだいって、二人のこの夏の恋が成就する事はありません。二人がそれぞれに失恋し、ひとつの不倫が終わり、ひとつの夫婦が離婚し、結局恋愛的にハッピーエンドなことは何一つない恋愛小説です。(個人的には弟さんの恋心が切なかったです・・・)それなのに、読後感がとても爽やかなのはなぜかな?間宮兄弟はともかく、周りの女性たちが、間宮兄弟から癒しや慰めを得て、それぞれに成長していったからかもしれません。

でもやっぱり、間宮兄弟はもてないだろうなあ、というのが、結論(笑。女性たちが間宮兄弟に好感を持っても、恋愛感情にはいたらない理由がわかる気がしてしまいます。おたくっぽい男の二人暮らしは、気持ち悪い・・・と思うけれど、別にそういうことや、外見のせいだけで、もてないわけじゃないよね。性格もすごくいいんだしね。

二人は二人とも、自分の居心地のいい世界に、非常に満足しているんですよね。子供の頃から慣れ親しんだ、実家的な空間に。恋人が欲しい、妻ができたら大事にする、なんて、考えてはいるんだけど、女性と新しく何かを作っていこうとか、彼女たちの世界に飛び込んでいくような勇気はなくて。あくまでも、自分たちの完全な世界に、それを壊さないような、理想の女性がすべりこんできてくれないかなあ、と、心のどこかで待っている。これだと・・・なかなか普通の恋愛するのは難しいよね。たとえば幼馴染の彼らをよく理解している女の子がいたり、彼らに恋をする母性本能の豊かな女性が突如現れるというような、何か運命的な事がない限り。

それでも、彼らが彼ら二人で、自分たちの温かい世界でずっと暮らしていくのなら、やっぱりそれも「幸せ」の1つの形かも。江國さんらしく、日常生活のこまごました事を丁寧に描いていて、どこか懐かしい感じのする、いいお話でした。間宮兄弟もそれぞれに、ほんっとに人柄が良くて、爽やかな読後感でした。そんな感想です。
| あ行(江國香織) | 10:16 | - | - |
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