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● コールド・ゲーム 荻原浩 
4062114569コールドゲーム
荻原 浩
講談社 2002-09

by G-Tools

甲子園に届かなかった17歳の夏。進路に悩む光也の周りで、中学時代のクラスメートに次々と悪質な悪戯が行われるようになります。その悪戯は、中学2年生のとき、クラスでいじめの標的であったトロ吉の復讐なのではないか、そう考えた光也は、トロ吉を説得し、友人を守るために動き出します。しかし、トロ吉の居場所はなかなか見つからず、悪戯はエスカレートしていき…

テーマが「いじめ」である以上、明るい話にはなりようがないのですが、荻原さんらしくユーモアを交えて、読みやすく仕上がっています。それに、物語はそのいじめから4年後のものなので、ある程度客観的に、落ち着いた目線で、皆が「いじめ」をふりかえります。光也自身は、いじめの首謀者であった不良グループの亮太と友人だったために、いじめられることも、いじめに加わることもなく、野球に没頭していましたが、そんな光也でも、トロ吉へのいじめを止めなかったことに自己嫌悪を感じています。他のクラスメートたちも、似たようなものです。
「俺たち、そんなにひどいことしたかな。あの時は、しょうがなかったんだよ。自分だけやらないとクラスで立場がなくなっちゃうって感じで……」
程度の差はあれ、ここ数十年の日本の義務教育を受けた人なら、「いじめ」に関わったことのない人などいないのではないでしょうか。いじめの首謀者だった不良少年。彼が恐くてしたがったほかの少年達。いじめを告発した優等生。面白がって見ていた少女達。この本では彼らのそれぞれの心情を丁寧に描き分けていて、誰もがどこかで身につまされる、そんな本です。

ミステリーとして真相にはあっと驚きましたし、上手な小説だったのですが、クライマックスとそれに続く結末が、本当に悲しくて、切なかったです。でも、主人公・光也の、成長ストーリーとしては爽やかで、とてもよかった事が救い。ずっと、トロ吉に謝ろう、と思って動いていた光也ですが、最後には「勝手に人に頼るな。自分を救えるのは自分だけだ」と、思うようになります。「いじめはいけませんよ」みたいな単純で説教臭いメッセージで、終わらなかったので、ほっとしました。
| あ行(荻原浩) | 16:07 | - | - |
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