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● 顔 横山秀夫 
4198615861顔 FACE
横山 秀夫
徳間書店 2002-10

by G-Tools

「黒い線」で失踪騒ぎを起こした、似顔絵捜査官・平野瑞穂が再び登場する短編集です。瑞穂は、以前の事件で、彼女が描いた似顔絵とは似ていない真犯人が捕まってしまったため、似顔絵を改竄しろ、という、上からの決定に逆らおうとしました。その時言われた言葉が「だから女は使えねぇ!」です。彼女は結局命令に従いましたが、その後失踪。良心の呵責に苦しみ、職場復帰を果たした今でもそれをひきずっています。

男女平等など、ほとんどの企業で建て前に過ぎませんが、警察というのは、それがもっとも色濃く残っている場所のようです。荒っぽい犯罪者を相手にして、24時間気の抜けない生活をする、体力勝負の仕事であるということ。「公務員」という、古い体質が残りがちな環境。民間の企業であれば「セクハラ」で訴えられかねないことも、ごく普通にまかり通っています。差別的な男性がたくさん出てきて、私は瑞穂と一緒になって腹を立てました。

でも、瑞穂というのは、女の私の目から見ても、ちょっと甘いところのある女性なんですよね。甘いというよりは、人間味があって優しいステキな女性なだけなのですが、多分警察という組織では、腹立たしく思われるだけであろうという事は、想像がつきます。だから、瑞穂には、同性にも異性にも敵が多いんです。

そんな中で瑞穂は、警察官として、ひたむきに己の職務に立ち向かいます。どんな不本意な職場に回されようとも、一生懸命仕事をし、被害者の見方であろうとします。いくつかの事件をひそかに解決し、彼女が、鑑識課に戻れることになったところで、この本は終わっています。これは、瑞穂が、再び自分の信じた道を歩き始めるまでの、再生の物語だと思います。

一つ一つの短編も、人間の裏側を暴く読み応えのあるものが多くて、私はとても満足しました。

画像はハードカバー版ですが、私が読んだのは、先月発売された文庫版のほうです。
| や行(横山秀夫) | 21:49 | - | - |
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