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■ チョコリエッタ 大島真寿美
4048734466チョコリエッタ
大島 真寿美
角川書店 2003-03

by G-Tools

もう高校生のくせに、「犬になりたい」とか、「わたしは本当はチョコリエッタという名前」などと言っている、現実逃避型の少女が主人公です。本名は知世子。チョコリエッタというのは、亡くなった母親だけが彼女を呼ぶときに使っていた名前です。今では誰も呼んでくれることのない名前です。

「春のフィルム」「夏のフィルム」「秋のフィルム」と三部構成になっています。「春のフィルム」では、自分はチョコリエッタであるということに執着していた主人公ですが、「夏のフィルム」で映画研究会の作品に出演し、「秋のフィルム」ではその作品に写った自分を、もういなくなった「チョコリエッタ」、今の自分ではない別人、と客観的に認識するようになっているようです。これは知世子の成長物語なんですね。
私は私を悪魔にのっとられないように、適当なところで手を打って、霧湖が辻さんと結婚しても牧丘典子さんが父と結婚しても、私はくじけずにやっていけるよな、と呪文のように唱える。
最終章「秋のフィルム」でのこの言葉が印象的でした。「悪魔」というのは、父親や母親代りの霧湖さんが自分から離れてしまうのが寂しくて、彼らの不幸を願ってしまう気持ちのことです。知世子さんは、素直でいい子ですね。このセリフは本当に健気で、成長したな、って感じで、頭をなでてあげたくなります。

ただ、「夏のフィルム」の章は、個人的に退屈でした。印象が薄くて残念です。そのせいで、彼女の成長の理由やきっかけがつかみきれない。夏の映画撮影と「春・秋のフィルム」のストーリー上の関連性が、よくわからない…。でもまあ、夏の映画を撮った人と恋に落ちる、というようなあまりにできすぎの展開ではなかった事が救いです。
| あ行(大島真寿美) | 21:44 | - | - |
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