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■ ママの友達 新津きよみ
評価:
新津 きよみ
光文社
¥ 1,680
(2007-03-20)

主婦の典子のもとに、差出人不明で突然届いた中学時代の交換日記。その直後、メンバー4人の中でリーダー格だった長谷川淳子が、他殺体で見つかったとのニュースが。音信不通だった残りのメンバーの人生も、日記をきっかけに大きく動き出す……40代女性の人生に起こる様々な事件をサスペンスタッチで描き出す、感動の書下ろし長編!

感動…は、あんまりしなかったんですけれども、色々と、考えさせられる小説ではありました。友達って何だろう、親友ってなんだろう、なんてね。大人になると、そんなことを考える事ってあんまりないけれど、10代のころは、一大事だったよなあ、なんて。

「ママって友達いるの?」と娘に問いかけられて、答えに困る典子がリアルでした。学生時代の友人とは日常生活にまぎれて疎遠になっていっているけど、今でも「友達」と言えるんだろうか。ご近所さんとの付き合いは、波風を立てないように気を使うばかり。ママ同士の付き合いは、あくまでも子供を介したもので、たとえば子供同士が違う学校になったりしたら、もう会う事もないのかもしれない。職場の同僚は、同僚にすぎず、職場が変わればやはり会う事はなくなるんだろう。親しげに言葉を交わす人はたくさんいても、どこまでが「友達」なのか。自分には「友達」が本当にいるのか。

考えちゃいますよねえ。たぶん、子育てから完全に解放されて、自分の趣味の時間をとれるようになったり、仕事に全力投球できるようになったりしたら、また「友達」を増やしていけるのかもしれないし、旧友との交流も復活できるのかもしれないけれど、社交的な性格ではない、大人しいタイプの女性だと、子育て中って孤独なのかもなあ。

この小説は、登場人物それぞれが、友情を取り戻すだけでなく、新しい人生に向かって前向きな一歩を踏み出していく様子が描かれていたので、後味はとても良かったです。女の友情っていいものですよね。いい本でした。
JUGEMテーマ:読書


| な行(新津きよみ) | 02:23 | - | - |
■ スパイラル・エイジ 新津きよみ
スパイラル・エイジスパイラル・エイジ
新津 きよみ

講談社 2005-06

新津さんの作品は、どれもこれも似たような女性心理が中心の、ドロドロサスペンス小説で、読み終わるとどれがどれだったかわからなくなるのですが・・・(すみません、すみません。でも出るたびに読んでるファンなんで、許してください)。この本は、そんなことはありませんでした。なんだか変わった本でした。印象が強かったです。装丁が素敵なのも、印象が強く残った一因かと思います。本当に素敵。

3人の39歳の女性が織り成す、生と死の物語。いつもの新津さんの、結婚にあせるか、仕事に行き詰まるかした女性の、友情か憎悪かの物語だろう、と、たかをくくっていたら、一味違いました。けっこういい感じに骨太な、読み応えのあるサスペンスでした。

薬剤師として働いて、自分の買ったマンションで、金魚と暮す美樹。彼女は3年間続いた不倫を、終らせたばかりです。そこに、殺人の罪を犯したという、高校時代の友人、雪乃が転がり込んできます。雪乃は妊娠しており出産が終ったら自首するので、それまで匿って欲しいと言い出します。迷いながらもずるずると、美樹は雪乃の世話を焼いてしまいます。美樹の元不倫相手の妻、暁子が、マンションを突然尋ねてきたことから、美樹と雪乃の秘密は、彼女にもばれてしまっています。

夫の不倫相手の重大な秘密を握ることになった暁子は、どういう行動にでるのでしょうか?

死体が発見され、警察の捜査は進みます。赤ん坊は育ちます。追い詰められていく雪乃の命運は?

真面目に働いてきたはずなのに、成り行きで犯罪者になってしまいそうな美樹の人生は?

一番の謎であるはずの、雪乃が犯した「殺人」のいきさつや理由に、ほとんど突っ込まれていないのが、ものすごく潔いと思います。主要登場人物3人が、3人とも、死者のことよりも、生まれてくる新しい命について考えているからでしょうか。できるだけ男性を排除する方向で作られている小説だからでしょうか。1つの小説として見たときに不自然な感じはするのですが、この潔さは好印象でした。

雪乃の内面が描ききれていない、とか、美樹の人格に一貫性がないとか、暁子って最後にいいとこどりだよな、とか、欠点も思いつく小説なのですが、それでも、けっこう好きな1冊。
| な行(新津きよみ) | 14:34 | - | - |
■ 決めかねて 新津きよみ
photo
決めかねて
新津 きよみ
祥伝社 2003-10

by G-Tools , 2006/05/16

子供を作るか否かで夫とすれ違い始めた志奈子。幼なじみのプロポーズに戸惑う智美。不倫相手になかなか別れを切り出せない佳代子。それぞれの悩みを抱えた三人が西銀座の有名占い師のもとで出会ったとき、彼女たちに転機が訪れた。急速に親交を深める三人を待ち受ける新たな恋、ストーキング、殺人事件…。三十代半ば、焦りと不安が入り交じる女たちの決断とは。
それぞれ悩みを抱えた、大人の女同士の友情もの、というわりに、まったくドロドロしていなくて、さくさくさらっと読めました。大人になってから友達を作るのって、難しい。仕事で付き合う人や、近所の人などとは、末永く仲良くするために、ある程度の距離をとりながら、付き合うのが、賢いし、礼儀正しいですものね。思いがけないところで、新しい友達ができて、なぜか馬が合って、びっくり・・・っていうこのシチュエーション、ちょっと憧れるなあ。

女同士の友情って「ドロドロ」に描かれがちですが、それって一部の話ですよね。女の友情って、意外とサラリとしていて楽なものです。私には、学歴コンプレックスや、出世競争でお互いを意識しまくっている、男同士の友情の「ドロドロ」を見る機会が時々あるので、こういうのって本当に男女は関係ないんだなあ、と、思います。

三人それぞれの物語が、それぞれに納得のいく形で終ってくれたので、後味もいいです。特に、志奈子のラストシーンが良かったです。志奈子と母親の物語って、深く描こうとしたら、それこそ究極の「ドロドロ」劇になりそうだし、実際にはこんなに簡単に和解はできないのかもしれないけれど、志奈子はこの場所からでないと、新しい自分の人生が作れないんだと思います。幸せになって欲しいです。
| な行(新津きよみ) | 15:31 | - | - |
▲ 時効を待つ女 新津きよみ
photo
時効を待つ女
新津 きよみ
徳間書店 2005-01

by G-Tools , 2006/05/09





新津きよみさんの作品というのは、比較的あたりはずれが少ないですよね。いつも、サスペンスとして、そこそこ面白い。隅から隅まで退屈などうしようもない駄作である、ということはない。だから、電車の中や、歯医者の待ち時間などに、軽い気持ちでよく読んでいます。どちらかというと、好きなほう。

けれど、ぶっちゃけ、ものすごい傑作だ!と思ったこともないし、個人的に思い入れが強い作品も特にないんです・・・。今回も、そんな感じで、そこそこは面白い短編集でした。

1番良かったのは、やっぱり表題作かなあ。オチで本当にびっくりしました。アイデアの勝利ですね。
| な行(新津きよみ) | 22:49 | - | - |
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