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▲ 彼女の知らない彼女 里見蘭
彼女の知らない彼女彼女の知らない彼女
里見 蘭

新潮社 2008-11
パラレルワールドからやってきた男に、「君は、すごいんだ」って言われた。私には、気付いていない可能性があるんだってさ。金メダルが狙えるくらいの―だから、走ってくれないかって。「私」の影武者として、あっちの世界で。信じてみよう、この人の言葉を。素人だけど、走ってみる。42.195km。2016年、東京オリンピックを目指して。本気を出しもせずに、生きているつもりでいるのはもうやめた。並行世界の「私」のために、私自身のために―。第20回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。
これが処女作なんですねー。それにしては、という言い方は失礼かもしれませんが、確かに面白い小説でした。もともと私はパラレルワールドものは好きなので、設定だけでテンションアップしましたし、トップアスリート選手の日常生活という、未知の世界が描かれていた事も、興味深く読むことができました。

ただ、色々と、惜しいなあ、と、思うところはありました。一番残念だったのは、村上と夏子の心の交流に、もうちょっと踏み込んでおいてくれたら、どんなに感動的なラストだっただろうに!という点です。村上には夏希がいて、夏子は4ヶ月で元の世界に帰ってしまう人だけど、それでもその4ヶ月の間に、2人は強い絆を作ったんだと思うのです。だからこそ、あのラストシーンがある。それがちょっと、伝わりづらかったな。あと、夏子が元の世界で女優を目指すというのも…うーん…。杏樹を羨ましい、戦ってみたい、と思っていた自分に気がついたからって、同じ世界を志すなんてあまりに安易。

でも、次作に期待して、楽しみにしています。
| さ行(その他の作家) | 12:28 | - | - |
▲ ただいま 不知火京介
ただいまただいま
不知火京介

光文社 2008-09-20

「記憶」をテーマにつづられた短編集。少しファンタジーが入っていたりする、いわゆる奇妙な味系なのかな。心温まる作品集でした。

個人的には、表題作の「ただいま」が一番好きでした。自分が、人の記憶に残れない人間であるというのは、どんなにか辛い事だろうと、現実的に考えると切ないのですが、そんな中で、何度も何度も同じ人と恋に落ちるというのはね、うん、ロマンってやつの定型だと思いました。「ライオンハート」恩田陸 を思い出しました。
| さ行(その他の作家) | 11:41 | - | - |
■ 無言の旅人 仙川環
無言の旅人無言の旅人
仙川 環

幻冬舎 2008-01

真面目に考えたら、こんなに辛い決断はないよねえ。植物状態になって、回復の見込みのない愛する人の命を、本人の望み通りに奪うか、自分の感情を優先して延命治療を続けるか。難しい問題ですよね。色々な事を考えさせられる一冊でした。

この本の中では、植物状態に陥った耕一が、前もって準備していた「尊厳死」要望書をめぐり、彼の両親、妹、婚約者、友人たちなどが、それぞれに、悩み、悲しみ、苦しみ、それでも彼の意思を尊重しなければと考え、「尊厳死」を受け入れようとする過程を丁寧に描いていきます。耕一の望みを叶える、と、家族が決断したその時、ある事件が起こります。

医療サスペンスだけど、霧村小説とか海堂小説とは違い、とことん人間ドラマが重視されていて、問題提起もはっきりしていて、小説らしい小説でした。メールのエピソードは出来すぎでしたが、全体的に辛い小説だったので、読者としては救われるラストエピソードでした。

結局、緊急事態が来る前に、病気になったり事故にあったりする前の、健康で正常な精神状態のときに、本人が決断を下し、家族とも話し合って、意思を統一するべきだと言う事ですよね。そうしておいたとしても、いざという時には、本人が望んでいた通りに家族が動いてくれるかはわからないけど、そこは家族間の信頼関係の質にもよりますね。

我が家の場合は、死とか死後というものにあまり興味が無いというか、死んだら人間はただの物体、土に戻るだけ、と全員が思っているので、自分の死に対する執着や希望が誰にもありません。そんなわけで、延命治療拒否の書類はずいぶん昔に全員分作って、定期的に更新してます。誰も何も悩んだりしなかったなあ。あっさりと、家族全員が、同じ結論に達し、サクサクと書類を作りました。でも、たとえば私や弟が結婚したり、子供(両親にとっては孫)ができたりして、新しい家族ができたら、その人たちとはちゃんと話し合わなきゃいけないんだろうなあ、そうしたら、私個人の意思だけを押しとおすわけにはいかなくなるのかもしれないなあ、と、思いました。きっとうちの家族のような人達は少数派なんだろうから。

| さ行(その他の作家) | 17:24 | - | - |
■ オブラディ・オブラダ 佐藤弘
オブラディ・オブラダオブラディ・オブラダ
佐藤 弘

光文社 2006-10-21

ごく普通の若者の日常生活を描いた、山もオチもない青春小説。メインテーマは恋愛。本来なら、私の好みではないジャンルなのですが、これは良かったです。いまどきの若者を描いているのに、生真面目で、純粋で、上品な小説でした。

高校生の真一は、大学生の陽子ちゃんの事が大好き。でも陽子ちゃんは、同じ大学のフルヤ君が好き。そのフルヤ君は、「人を好きになったことなんてない。」と言っていて、定期的に年上の女性に飼われにいって小遣い稼ぎをする。そんな3人は今のところ仲の良い友達で、フルヤ君の家でたびたび顔をあわせ、とりとめのない時間をすごす。

こんな誰の思いも実らない恋を、真一はまっすぐ見つめ続けます。人を好きになるとはどういうことか、付き合うってどういうことか、真面目に考え続けます。こんなん、大人になったら真剣に考えることはあんまりないですよねー。だから読んでいて気恥ずかしい部分が多々ありましたが、瑞々しくて悪くなかったです。

個人的には、脇役の、綾っていう女の子に1番共感できたかなー。わたしは、フルヤ君の考えは受け入れにくいし、陽子&真一のように、自分の気持ちに正直には行動できません。綾は、真一が好きでその気持ちは隠しきれないけど、真一が陽子ちゃんが好きだと公言してはばからないので、積極的な行動は取らない。彼女も切ない恋をしていました。

それにしても、高校生の男の子って、こんなに恋愛のことばかり考えているものなんですか?真一ったら、陽子ちゃん以外のことはすべて面倒で、何にも考えていませんよねー。まあ、そういう時期も貴重だと思うし、純粋で羨ましいですけどね。わたしにはこんな時期はなかったので、作中で強調されていた「懐かしさ」は、ちょっと感じられませんでした。
| さ行(その他の作家) | 12:05 | - | - |
▲ 新宿ミルク工場 沙籐一樹
わたしを救えるのはあなたのぬくもりだけ
ある日、ビルの屋上で出会った望月景と中川清香。ある晩、廃工場で出会った椎名純紀と久我誠司。大人たちから逃れるには「死」しかないと追いつめられ、さまよっていた若い男女に訪れた偶然。ふたつの出会いがひとつにつながった時、「奇跡」が起きた―。

日本ホラー小説大賞短編賞受賞作家が放つ渾身の書き下ろし小説

「死ねば、安らぎが手に入ると思った」望月景
「あたしには、あんたが必要なんだ」中川清香
「世界に適応できない者は死んでいく」椎名純紀
「おれはきみを助けたい」久我誠司
絶望の果てに紡ぎ出された「魂の再生」の物語
虐待の過去を持つ、若者たちの物語。

何も悪い事をしていないのに、自分が生きることを許すというそれだけのことに、こんなにも苦戦を強いられる。同情せずにはいられません。でも、最終的には、救いのあるストーリーです。

「ミルク」と「工場」という短編に、「新宿」というエピローグがついた構成になっています。「ミルク」のほうは、主人公が、悪い意味でイタイです。それまでの悲惨な時代を、サバイバルしてきたという強さが、まったく感じられない。甘ったれた感じで、読みにくかったです。「新宿」のほうが、共感できたし、まだ物語も面白かったです。
| さ行(その他の作家) | 01:01 | - | - |
不思議じゃない国のアリス 沙藤一樹
不思議じゃない国のアリス不思議じゃない国のアリス
沙藤 一樹

講談社 2003-10

・不思議じゃない国のアリス
現在25歳の由記子は、中学の修学旅行の時に風邪を引いて、参加することができませんでした。しかし、その修学旅行の時にバスが橋から転落し、すべてのクラスメートが亡くなったのです。生き残った由記子は、「自分だけが生きているのはなぜか、生きていていいのか。」と悩みながらすごしています。今でも、亡くした幼馴染を思って泣きます。由記子の暮す小さな町では、誰も事故の事を忘れてくれず、今でも彼女は「奇跡の少女」と呼ばれています。

そんな彼女と、唐突に登場する、アリスという少女の奇妙な交流を描いた一編。これは、ぜひ長編にして欲しかった!由記子の内面にもっと踏み込んで欲しかったし、アリスにも物語が欲しかったです。アリスの謎は謎として魅力でしたが・・・。

ちなみに、アリスにそっくりの友だちが私にはいます。コスプレが好きで、自分もおしゃべりだけど、いつも連れている熊のぬいぐるみのほうがもっとしゃべるの。アリスより10歳くらいは年上だけどね。

□ 青い月
これはちょっと好きだったかも。SFっぽい設定、青い世界の不思議な雰囲気、ストーリー展開、ラストの衝撃の一文。

もうちょっと長い物語にして、ハルの視覚障害という設定が、もっと生きてくるエピソードがほしかったです。それに、月子と陽子の内側にも踏み込んで欲しかった。ああ、惜しい!

・飛行熱
・空中庭園
この2作は、ライトノベルによくある感じ。

□ 銃器のアマリリ
この小説は、全文箇条書き、という面白い形式になっています。最初は、なんか読みにくかったんですけど、けっこう読めました。読み終わってみたら、そこそこ面白かった。不思議な小説でした。

○ 旅をする人
この、ラストのショートショートが、私は一番好きです。余韻がたまらない。



設定にも、登場人物にも、妙にひきつけられるものがあるのに、テーマに対する踏み込みが浅かったり、その後の展開がつまらなかったり・・・なんかもったいない!という短編集。少女や少年が出てくる作品が多かったけど、若い人向けの本なのかな?出てくる大人は、みんな無神経で、理不尽で、だから彼らの不安や、孤独や、恐怖には共感できるんだけど、その先が描かれていないような気がする・・・。そんな短編ばかりでした。もったいないなあ。
| さ行(その他の作家) | 22:54 | - | - |
▲ クローズド・ノート 雫井脩介
クローズド・ノートクローズド・ノート
雫井 脩介

角川書店 2006-01-31

雫井脩介さんということで、かなり終盤に入るまで、ミステリーだと思って読んでいたので、まっとうな純愛小説でびっくりでした。

このブログに、携帯連載小説が登場するのは、たぶん初めてですよね。読んでなかったわけじゃないんですけど・・・まあ、ここにはアップしてないっていうことで、そういう感じだったんです。今までは。

でもこの本を読んで、ああ、携帯連載小説も、ずっと年下の若者のためだけのものだと、馬鹿にはできないなあ、って思いました。

うん。けっこういいお話だった。

それにしては低い、この▲という評価はなんなのかと言いますと(^_^;)、かなり早い段階で展開が簡単に読めてしまうところで1点、主人公、香恵の恋のお相手、石飛さんの人間像がきちんと浮かび上がってこなかったところで1点、ストレートな純愛小説のブームはもう去ってしまったというか、個人的に飽きがきているということで1点、という風に減点していったら、こうなってしまいました。でも、本当に、いいお話だったんですよ。ええ。

前半、モチーフとして万年筆とマンドリンがしつこく出てきます。私は個人的に、文房具フェチでバイオリン弾きなので許容範囲でしたが、文房具やクラシック音楽に特に愛着がない人にとっては退屈だったんじゃないのかな?前半は、冗長で退屈な印象がありました。

でも、後半になってからは、がぜん面白くなります。どちらかというと地味な大学生、香恵が、バイト先の文房具屋さんで話すようになった 石飛さんに片想いをするラブストーリー。最終的には、もう1人の主役とも言える、伊吹という女性を交えた三角関係に発展するのですが、まったくドロドロ感がなく、爽やかです。このあたりのいきさつや、タイトルにもなっている「クローズド・ノート」についてのストーリーもとっても素敵なのですが、何を書いてもネタバレなので書きません。それに・・・あちこちのブログにここいらのあらすじは載ってるしねー(^_^;)

私が印象に残ったのは、この文章です。
私は自分のラブストーリーを彼に語ってこなかったという事だ。
私が隆の気持ちを分からないように、隆も私の気持ちは分からないのだ。
私は自分で考えているよりもずっと自分の気持ちを押し隠して生きているのかもしれない。
私はもっと前向きになって、自分のラブストーリーを少しずつ、魅力的に彼に伝えていくことが大切だという事。
自分のラブストーリーを、魅力的に語るって、私には逆立ちするより難しく感じます。でも、呼吸をするように簡単に、それができる人のことも知っているので、ちょっと、勉強させてもらおうかなあと思ったりします。
| さ行(その他の作家) | 10:10 | - | - |
■ キノの旅 宗〇雨沢恵一
4840231729キノの旅〈9〉the Beautiful World
時雨沢 恵一
メディアワークス 2005-10

by G-Tools

これだけ巻数を重ねてくると、もうかなりパターン化していて、だいたいオチは予想できてしまうのだけれど、それでも大好きな「キノの旅」。オチを予想しないようにブレーキをかけながら読むのがコツ。ミステリーじゃないから、予想があたっても快感は特にないしね。

印象的だった作品

・作家の旅
これって実は、現在の出版界・・・というよりはエンターテイメント産業全体に対して、遠回しに何か言ってたりするのかな?考えすぎだよね・・・。

・殺す国
戸梶圭太さんの「自殺自由法」を思い出しました。童話的に表現されていますが、こっちのほうが実は末期ですね。

・プロローグ&エピローグ
だから予想しちゃいけないんだってば。オチは読めるんだから。ブレーキブレーキ。・・・と、一生懸命思わなくても、一冊分ページがあいているので、すっかり忘れていたから素敵。あ、やられた、って感じでした。
| さ行(その他の作家) | 14:51 | - | - |
■ 上高地の切り裂きジャック 島田荘司 
4061824570上高地の切り裂きジャック
島田 荘司
講談社 2005-11

by G-Tools

2作収録の中編集。

・上高地の切り裂きジャック
撮影を終え、横浜へ帰ったはずの女優が、撮影のまだ続く上高地の林の中で、死体となって発見されます。腹を切り裂かれ、内臓を取り出され、そこに石をつめられた無残な姿で。関係者にはすべて、アリバイがありました・・・。

・山手の幽霊
封印された地下シェルターから、餓死した男の死体が発見されます。彼はどこからシェルターに入り、なぜ死ななければならなかったのか?シェルターが封印された後も、外で目撃されていた男の姿は、幽霊か?これが2作目。

さすが島田荘司。技あり!って感じで、ミステリアスというか、猟奇というか、尋常でない事件の演出はビシッと決まっています。特に、2作目の「山手の幽霊」のほうは、とても島田荘司らしい作品だという気がしました。

でも島田さんにしては軽いです。読みやすいし、こういう本から、新しいファンも獲得して欲しいと思いますが・・・ちょっと物足りないなあ、と、思ってしまいました。普通の本格推理でした。どうしても島田さんには、普通以上を期待してしまって、申し訳ない感じです。十分、面白かったんですけど。

表題作の、蛆虫の大きさから死後経過時間がわかるっていうネタは、2時間ドラマの「法医学教室の事件簿」でも見たし、他の小説でも見たことがある(と思う)。あんまり想像したくない映像なんだけどなあ。
| さ行(その他の作家) | 11:45 | - | - |
■ 私という運命について 白石一文
4048736078私という運命について
白石 一文
角川書店 2005-04-26

by G-Tools

人は、ほんとうにみずからの意志で自分の人生を選び取ることができるのだろうか―。恋愛、仕事、結婚、出産、家族、死・・・大手企業に勤務するキャリア女性の29歳から40歳までの10年を、社会的な出来事を交えて描いています。

「運命」の不可思議とその意味が、繰り返し問いかけられます。「運命」については、私はアンチ運命論者なので、失笑ものの描写が多かったんですが、「人生」については、考えさせられる事が、たくさんある本でした。四つの章で構成されているのですが、それぞれに小道具として出てくる「手紙」が興味深く、先を読もうという気になります。
選べなかった未来、選ばなかった未来はどこにもないのです。未来など何一つ決まってはいません。
運命というのは、たとえ瞬時に察知したとしても受け入れるだけでは足りず、めぐり合ったそれを我が手に掴み取り、必死の思いで守り通してこそ初めて自らのものとなるのだ。
前半部分は、どこにでもいそうな独身OLの心情を描いています。「運命」という響きから想像するような、ドラマティックな展開はありません。恋愛や仕事に、何かを求めたり、何かを諦めたり、結婚に踏み切れなかったり、・・・本当にどこにでもあるような物語です。

働く女性の考え方も、気持ちも、行動も、びっくりするほどリアルなのに、「共感してください」オーラをまったく感じなくて、読みやすかったです。恋愛に対する姿勢や、恋人に対する心情も、男の人が書いたとは思えないくらい、上手い。というよりは、著者が男性(しかも大人)だからこそ、上手いのかもしれません。客観的で、抑えるところが抑えられた文章だったから、読みやすかったんだと思います。

著者の持論というか、いまどきの若者に対する苛立ちのような主張には、共感できる部分もありました。純平や、亜紀や、達哉に対してするお説教の中に、そして、康のセリフや、四つの手紙の中に。正論だと思うし、私も賛成です、と、言えます。

さて。後半に入ると、いきなり展開がドラマティックになってきます。朝の連続テレビ小説か、昼メロ的な波乱万丈です。そして、前半の上手さが嘘のように、この小説、腹立たしくなってくるんです。
男は否応なしに男同士の競争を強いられるが、女は女同士で争うこともないし、また男と争う必要もない。男と女はパートナーにはなり得ても、本来ライバルにはなり得ない。要するに女性はいかなる競争からも自立していられるのだ。そこが女性の最大の強みなのではなかろうか。
こんな文章は、女を敵に回すよねー。わかっていて書いたなら、勇気ある!

それに、主役の亜紀ですが、男性に好まれるタイプの、都合のいい女性に変わっていきます。っていうか、キャラクター設定的には、もともとそうだったんでしょうね。でも前半は「理性が勝ってしまって、恋にのめりこめない女」という側面が強調されていたので、目立ちませんでした。後半になって「運命」を掴んでから、「男に都合のいい女」の部分がどんどん目立ってきます。

美人で、スタイルが良くて、料理が上手で、貯金もしっかりしていて、バリバリ仕事をする才能もある。けれど恋人に頼まれたり、彼が病気になったりすれば、お金も仕事も生活も、すべてを捨てて彼を支える。愛する人の子供を産んで育てて、次の世代へ繋げていくことが、私の最大の幸せだ。

これが、後半の亜紀です。ここまで理想的ではなくても、こういう考えの女性もいるとは思います。でも、出てくる脇役の女性が、みんな結婚して子供を生む事が幸せだと亜紀に力説し、最後に亜紀もこの「運命」にたどりつくのですから、著者の頭の中、古いっ!と、思わずにはいられません。

それに後半に入ってすぐ、ラストまでのだいたいの展開が読めてしまうのもどうかと・・・。長い小説で、あと200ページはあるのに。

誉めてるんだか、けなしてるんだか、わからない感想文になってしまいましたが・・・。この本の私の評価は、全体として高いです。文章も構成も綺麗にまとまってて、読みやすいし、読み応えもある本でした。

でも、好きじゃない。
| さ行(その他の作家) | 22:05 | - | - |
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