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▲ 塔の断章 乾くるみ 
4061820575塔の断章―ここにミステリ宿る
乾 くるみ
講談社 1999-02

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「機械の森」という小説のゲーム化のために集まったグループ8人が、湖畔の古い洋館で過ごした一夜。社長令嬢が塔から墜落死し、彼女は妊娠していた。赤ん坊の父親は誰か?彼女は自殺?それとも他殺?

自分に目的意識がなく、他人の目的意識を見抜くのに長け、それをサポートしてしまう。探偵役・天童はそんな「業」をもっているそうです。そう語るシーンが、彼の一番の長台詞で、読んでいて一番面白かったのもそこでした。天童と共に、犯人探しをする事になる、ゲームの原作者・辰巳が、語り手もかねているのですが。いくら出版社の社員だからって、小説家に自分の妹の事件を小説にまとめてくれと頼む、という最初の展開に無理がありすぎる、と、思います・・・。

小説は、タイトル通り、「断章」で、長期にわたる出来事が、時系列バラバラに配置されているので、入り組んで見えるだけで、特に複雑な事件でもないし、奥も底もあまりなかったです。小説って、描き方次第なんだなあ、と、思った一冊。殺人事件そのものより、ゲーム制作現場のシーンのほうが興味深かった。ちょっと古いけど。
| あ行(乾くるみ) | 22:17 | - | - |
■ 林真紅郎と五つの謎 乾くるみ
4334075320林真紅郎と五つの謎
乾 くるみ
光文社 2003-08-21

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乾さんの本にしては、おとなしい推理短編集。でも、面白かったです。軽く読めて、後味もよく、爽やかとさえ言えそうです。

探偵役の、元法医学者・林真紅郎のキャラクターがいいんです。妻を亡くして、仕事もやめ、今の自分の生活を「余生」と言い切る彼ですが、不思議に暗くはない。好奇心や、探究心を失っていないんです。淡々と、飄々と、真紅郎は事件を解決していきます。

ぜひ、ぜひ、シリーズ化して欲しいです。
| あ行(乾くるみ) | 23:00 | - | - |
■ Jの神話 乾くるみ
4062734605Jの神話
乾 くるみ
講談社 2002-06

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再読。と、いっても、すっかり読んだ事を忘れていました・・・。

今週は、乾くるみ週間になりそうです。なぜなら、どなたかが図書館でまとめて、乾くるみ本を借りていらしたらしく、図書館の予約待ち本がいっきに届いたからです。

舞台は全寮制の名門女子校。カリスマ的な魅力があった、美貌の生徒会長が、流産による大量出血で死亡します。しかし、いたはずの胎児の遺体は、現場に残されていませんでした。隔離された学園の中では、新たなるカリスマが登場し、陰険な派閥争いに主人公・優子が巻き込まれていきます。学園の外では、彼女の両親の依頼を受け、女探偵「黒猫」が、真実を追います。

前半は、ストーリーといい、雰囲気といい、普通の推理小説なんですが、後半が、とにかく変!再読ですが、本当にすっかり忘れていたもので、終盤は、驚きの連続でした。そしてクライマックスでは鳥肌が立ち、ラストには唖然呆然でした。意外性という意味では、もう文句なし。さすが、初期のメフィスト賞作品。とにかく奇妙奇天烈な本です。

乾くるみさんという名前はとてもかわいらしいので、女流作家だと思っておられた方がけっこういるみたいですね。ネット書店の中にも女流作家に分類されているところがある・・・。わたしは、この「Jの神話」と、やはり初期のライトノベル「マリオネット症候群」から乾作品を読み始めたので、女流作家だと思ったことは一度もありません。この馬鹿馬鹿しさは、男性特有。(いい意味で、とか、ある意味、とか、つけるべきですね。)
| あ行(乾くるみ) | 22:58 | - | - |
● リピート 乾くるみ
4163233504リピート
乾 くるみ
文藝春秋 2004-10-23

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もし、現在の記憶を持ったまま十カ月前の自分に戻れるとしたら―。この「リピート」に成功し、人生をやり直そうとしている十人の男女。ある人は東大入学をもくろみ、ある人は競馬で大もうけをたくらみ、ある人は惨めな結末に終わった恋愛のやり直しを考えています。しかし彼らは一人、また一人と、不審な死を遂げていくのです。誰が「リピーター」を殺しているのでしょうか?また、その理由とは?

帯に「「リプレイ」+「そして誰もいなくなった」の衝撃!」って書いてあります。確かに、しかけは似てるんですが、ケン・グリムウッドの「リプレイ」が好きだから、この本も読んでみようかな、というのはやめたほうがいいと思います。

「リプレイ」もですが、似たようなネタを扱っている北村薫の「スキップ」や「ターン」、東野圭吾の「トキオ」、最近読んだ貫井徳郎の「さよならの代わりに」、西澤保彦の「七回死んだ男」など、私が好きなタイムスリップものでは、主人公が善人である場合が多いんですよね。タイムスリップで過去に戻ったあと、誰かの不幸な未来を変えようとしたり、自分の間違いを正そうとしたりするパターンが多いです。だからこそ、爽やかだったり、切なかったりします。

でも、この本はそういう本ではありません。タイムスリップをした後の保身が最優先され、そのために細心の注意が払われる様子が、具体的に描写されます。登場人物が、そろいもそろって利己的で計算高い、嫌な感じの人間ばかり。一番普通に見える主人公の毛利でさえ、小心者の女好きです。だから、爽やかなストーリーにはなっていません。でも、リアルであるとは言えるかもしれません。現実に、タイムスリップができたら、人間ってこんなものかもしれません。

面白かったです。私は全然、謎解きできなかったし、ラストは本当に衝撃的でした。
| あ行(乾くるみ) | 23:47 | - | - |
● イニシエーション・ラブ 乾くるみ
456203761Xイニシエーション・ラブ
乾 くるみ
原書房 2004-03

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どうしよう。わたし、馬鹿かもしれません。意味がわからないの。

乾くるみさんという方は、本格ミステリの作家さんなんですが、私は昨年この本を読んだ時、「へー、普通の恋愛小説も書くんだ」という感想しか持たなかったんです。なんで、こんな普通の恋愛小説を、今どき、80年代を舞台にして書くんだろう、っていう違和感は持ったんだけど、もともと恋愛小説って苦手だし、主人公の男の性格も気に入らないし、「おもしろくなーい」っていう感想でした。図書館で借りた本だったから、帯とかもついてなかったしね。

でも、今日「2004本格ミステリベスト10」とかいう雑誌を見たら、6位に入ってるんだよ。で、びっくりして。書評を読んだら、どうやら、ものすごい伏線が張り巡らされていて、最後に大どんでん返しがあって、アッと驚き再読すること必至らしいのです。

一応ざっと再読してみたんだけど・・・わからないよ。普通につまんない恋愛小説だよ。何か大事なキーワードとか、エピソードとか、伏線になっている文章を、見逃すか、読み飛ばすかしちゃってるんだろうなあ。でも最後の数ページとか何回もじっくり読んだんだよ。でも全然わかんない。何がどんでん返しなの?どうしよう、わたし、本当に馬鹿なのかも。誰か教えて〜。ネタバレしてくれてるサイトもみつからないし。ミステリファンみんなマナーよすぎるよ。



あっ。わかった。ありがとう、Amazonのネタバレレビュー。

ちくしょー!悔しい。なんでわかんなかったんだ。これねー、どっかで殺人事件が起きてたら、私も気がついたんだと思う。初歩的なトリックだもん。「ああ、普通の恋愛小説だ」って思いこんだ瞬間に、わたしはもう負けていた・・・。

(↑から、数時間後、あまりの悔しさに再投稿。)
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