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▲ インシテミル 米澤穂信
インシテミルインシテミル
米澤 穂信

文藝春秋 2007-08

ネタバレちょこっとあり!

時給11万2000円也で募集された、怪しげな実験モニター企画。集まった12人の被験者たちは、地下の奇妙な館に7日間閉じ込められ、観察されることになりました。そして案の定、連続殺人事件が起こるわけです。

この種のミステリーにしては柔らかくて読みやすい文章で、読んでいる間は楽しかったです。1つの死から始まって、そこから連鎖的に事件が起こっていく過程も、謎解きの過程も楽しめました。まったくの他人同士だと思われていた12人の隠された関係が明らかになり、それが事件にも、解決にもつながっていくあたり、上手いって思いました。

でもなんだか、詰めが甘くて…ラストに不満が残ってしまいました。この手の小説は、途中経過にどんなに無理があっても、すっきりオチがついてくれれば満足度は高いんですけどねー。主催者の意図が最後まではっきり描かれなかったのが、一番すっきりしなかった点かなあ。要するに、すべてが趣味の悪い金持ちの道楽だったってことでいいんでしょうか?そして、須和名の参加理由が最大の謎かと思いきや、その謎は結局、描かれたようで描かれないまま終わった感じだし。あと、最初の1人が死なざるを得なかった理由も、最後の1人になりそびれた人が10億円必要だった理由も、重要なポイントのはずなのに描かれないままだったしなあ。

正直、イマイチでした。米澤さんは日常の謎系青春ミステリーがいいよ、やっぱり。

クローズドサークルの定番、館ものってやつは、どんどん廃れていくのかと思いきや、なんだかんだと途切れることなく次から次に出ていますね。ミステリー作家の方は、一度は挑戦してみたいと思うものなのでしょうか。館もの、かなーり昔に島田さんや綾辻さんの小説を、超面白い!と思って読み漁っていた頃は、私も大好きでした。その頃に大量摂取したせいで免疫がついてしまい、今はどんなに力作でも、なんだか淡々と読み終えてしまう感じなんですよね…。
| や行(米澤穂信) | 02:17 | - | - |
▲ 遠まわりする雛 米澤穂信
遠まわりする雛遠まわりする雛
米澤 穂信

角川書店 2007-10

シリーズ3作目の「クドリャフカの順番」で、文化祭というイベントを終えることで、きれいにまとまったシリーズに、この続編は必要だったのでしょうか?番外編的な短編が多く、可もなく不可もなく、といった雰囲気で楽しめた前半はともかく、ラストの2編は賛否の分かれるところではないかと思います。

古典部メンバーの恋愛に関しては、はっきりさせないままライトに終了するんだと思っていたから、意外でした。個人の好みとしては、はっきりさせないまま終了してくれたほうが良かったかなあ〜。里志と摩耶花の恋は、シリーズ序盤から何度も匂わされていた件なので、里志の気持ちが描かれて良かったとは思うんだけど、描かれてみてもなんだかすっきりしない感じが、うーん。えると奉太郎のほうは、奉太郎が古典部ではポリシーを貫けないのはえるを好きだからだろうってことは、最初からわかっていたことなんだけど、そこも描かないでくれたほうが良かったような気がして、うーん。

まだ高校生なんだから、そんなに深く真面目に、自分の人間性とか、相手との将来まで考えず、とりあえず恋愛に飛び込んでみればいいのに。とか思っちゃったのは、わたしがおばさんだからですかね、おばかさんだからですかね。違うかな。女性だからかな。古典部メンバーも女性2人は積極的です。

米澤さんは、楽しいだけでもいいはずの小説で、深くて暗い所に、意外な瞬間に突っ込んでいく事がありますよね。そこが、ひねくれた主人公ばかり登場する米澤作品の魅力でもあるのですが、楽しい小説は楽しいだけでもいいのになあ、って、短所に感じられてしまう事もあります。この本は、そんな感じでした。

ただし!この先もこのシリーズが、2年生編・3年生編と、長く続くのであれば、この1冊の私の評価は、大きく変わると思います。
| や行(米澤穂信) | 19:51 | - | - |
■ ボトルネック 米澤穂信
ボトルネックボトルネック
米澤 穂信

新潮社 2006-08-30

懐かしくなんかない。爽やかでもない。
若さとは、かくも冷徹に痛ましい。
ただ美しく清々しい青春など、どこにもありはしない。

帯より。
必要があるかどうかわかりませんが、一応、ネタバレ警報を出しておきます。

今度の米澤さんは、パラレルワールドSF。元SF少女の私は、数々のパラレルワールド小説を読んできたと思うんだけれど、こんなに救いがなく、後味の悪い作品は初めてです。米澤さんの作品だから、最後になにかどんでん返しで、一気にすっきりさせてくれるだろう、なんて思っていたら、みごとに裏切られました。最後の最後まで、とことん救いのない物語です。

主人公は、嵯峨野リョウ。パラレルワールドは、ほとんど自分の世界と同じで、ただ、自分が生まれなかった世界でした。

リョウの世界では、嵯峨野家に長男が生まれた後、二人目の子供の流産があって、その後次男としてリョウが誕生したのですが、パラレルワールドでは流産はおこらず、その子がサキという名前で立派に成長しており、だからリョウは誕生しなかったのです。

自分の存在する世界と、自分の存在しない世界の「間違い探し」をしながら、パラレルワールドで3日間を過ごすリョウ。その間のほとんどを、天真爛漫で、頭が良くて、明るいサキと、ほんものの姉弟のように過ごすので、雰囲気的には暗い本ではありません。読みやすい本です。

でもリョウは、その3日間でたくさんのことを知ります。自分にはできなかったけれど、サキは両親の不仲を解決できた。つぶれかけた店も立ち直らせた。サキの世界では、恋人も兄も死なずに生きている。自分のいない世界は、何に関しても、自分のいる世界より良い。リョウは、自分は世界のシステムの効率を悪くする「ボトルネック」である、と、実感してしまうのです。そして、「もう生きていたくない」と、思ったところで、元の世界に戻されます。

大人である米澤さんは、どんなつもりでこの本を書かれたのでしょうか。この本は、ある種の人間にとっては、凶器だと思います。

レーベルは別にライトノベルではありませんが、内容的には、ラノベと言っていいと思います。若者向けの本です。でも私は、成長期の若者に、この本を読んでほしいとは思いません。もし、自分に関わりのある子がこれを読んでいると知ったら、心配になると思う。元々心の弱い子なら、つられて自傷・自殺しかねない内容です。そうでなくても、人間なら誰でも、心が弱くなる時ってあって、若者には特にその波が激しい。

いい年をした大人の私でも、最後まで読んだ後、かなり滅入りました。世の中に、自分の存在は正であり善であると、確信できる人がどれだけいるでしょうか。この本は、「お前は生きていてもいいのか」と、しつこく問いかけてきます。その問いに、「もちろんだ!」と自信を持って答えられる人間が、どれだけいるでしょうか。特に、米澤さんのファン層である、比較的若くて読書が趣味である人、の中には、少ないのではないでしょうか。

そういう意味では、この本は、読者の共感を呼ぶかもしれない。読者の心に残るかもしれない。名作かもしれない。でも、私は、子供にも、若者にも、大人にも、老人にも、誰にもオススメできません。「この本は存在していてもいいのか」と、考え込んでしまうような内容でした。

帯にこんな文章があります。
青春を描くには二つの方法がある、と勝手に言い切ってしまいます。一つは「過ぎ去って初めて分かることがある」という大人の視点で物語を進めるもの。もう一つは「渦中にいなければ感じ得ないこともある」という、同じ目線で若さを描くもの。青春から遠のくほど「等身大」からは離れるわけですが、米澤穂信は後者の青春を描かせたら右に出る者なし、とずっと思っていました。本書はその集大成。若さ特有の「痛々しいオーラ」が横溢する、紛れもなく「現在進行形の」青春小説です。
まったく、その通りだと思いました。

米澤さんは、若者の心に帰って、自分の頭の中できたこの物語をそのまま描いたのでしょう。青春真っ只中というのは一般的に、主観的で、自分がすることが周囲に与える影響について、あまり考えないものです。この本は「読者を楽しい気持ちにさせよう」と思って書かれたものではないことは明らかですが、「こんなことを考えてくれるといいな」とか、「こんなことを感じてくれるといいな」とか、そういう計算も、ほとんどない気がします。(もしかして、もしかしたら「若者よ、能動的に、積極的に生きよ」というメッセージが込められているのかもしれませんが…。そのメッセージを伝えたいのであれば、あの終わり方は、なしでしょ、と、思う。)

青春時代に戻った(今の?)米澤さんの、自己表現なのかもしれませんね。小説による自己表現というのは、よくある事だと思います。というか、それこそ文学の王道ですよね。それから、絶望をテーマにした文学も、たくさんあります。でもそれを、娯楽小説の中でやられてしまったところに、米澤さんのファンの1人として「裏切られた〜」って思うんです。そういうことは純文学の世界でやってくれよ、みたいな・・・。日ごろは、ジャンルわけなんてくだらない!と、主張しているにも関わらず・・・。我ながら、矛盾しているんですけど。

まさに、大人ではなく、若者の発想で作られた本だと思いました。悪い言い方になってしまうけれど、大人気ないと言うか・・・。私は毎日中学生や高校生を相手にバイトをしていて、バイト仲間には大学生もいて、中には不登校や拒食症の子もいるし、米澤さんの本を読んでいる子もいます。彼らが、妙なタイミングでこの本を読まないでくれるといいなあと思ってしまう。そんなわけで今は、この本に良い印象が持てません。

でも、この本を「そういう本だ」と認識した上で再読したときに、自分がこれを「傑作だ」と思ってしまいそうで、それがちょっと・・・複雑な心境です。

感想を一言で言うと、複雑。これにつきます。
| や行(米澤穂信) | 00:14 | - | - |
● 夏期限定トロピカルパフェ事件 米澤穂信
photo
夏期限定トロピカルパフェ事件
米澤 穂信
東京創元社 2006-04-11

by G-Tools , 2006/04/18

小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。賢しらに名探偵を気取るなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を!そんな高校二年生・小鳩君の、この夏の運命を左右するのは“小佐内スイーツセレクション・夏”!?待望のシリーズ第二弾。

「BOOK」データベースより
1作目の「春期限定イチゴタルト事件」が面白かったから読んだのですが、この2作目、小説の構成としては飛躍的にレベルアップした感じがします。すごく良かったです。(ついている解説で絶賛されているので、影響されちゃってはいるんだけど・・・。でも、本当に良かった。)

短編としては、第1話目の「シャルロットだけはぼくのもの」が好きでした。倒叙式の本格ミステリーで、犯人と探偵の息詰まる心理戦を堪能できます。それにしても、これは、私が今までに読んだ中で1番小市民的な倒叙式ミステリーかも。だって、物語の冒頭で行われる「犯行」って、小鳩君がシャルロットを1つ食べたことなんですよ。それをどうやって小佐内さんの目から隠そうか、と、それだけの物語。それがこんなに面白いというのは、さすが、米澤さんです。

そしてこの本は、短編集というより実は長編で、この素敵な短編も伏線にすぎません。この本では、前作から引っ張っている、小佐内さんに何があったのか、小市民を目指しているのはなぜか、が、明らかになります。

最後まで読むと、とにかく「復讐」を愛する小佐内さんが、色んな意味ですごいわ。素敵。お友達にはなりたくないけど、小説にはどんどん登場して欲しい!小鳩君は、完全に負けてますねー。小鳩君は2人の攻防を、武田信玄と上杉謙信なんて言ってるけど、とんでもない。これではまるでルパン対ワトソン・・・。小鳩君って、あえて目指さなくても、十分小市民なんじゃないかなあ。

ラストがかなり意外です。

そんなことはわかっちゃいるけど、しばらくそこにはつっこまず、適当にリラックスして楽しむシリーズなのかと思っていたら、こんなに早く、しかも真正面から、そこにつっこんで行くんだね。意外だなあ。(読了後の人にしか、理解できない文章ですね。)

甘酸っぱいのかと思ったら、ほろ苦いのほうなのね、という感じだった1作目。ほろ苦いのかとおもっていたら、痛いんじゃーん、という感じの2作目。3作目はどうなるのかな?この流れだと、恋愛ものに転んじゃったりするのかな?やっぱり「秋期」はモンブラン?「冬期」はチョコレートあたりでどうでしょう?

とにかく早く続きが読みたい!
| や行(米澤穂信) | 13:19 | - | - |
■ クドリャフカの順番 米沢穂信 
photo
クドリャフカの順番―「十文字」事件
米澤 穂信
角川書店 2005-07

by G-Tools , 2006/04/10


学園祭で売る冊子が、部員のちょっとしたミスで、大量に印刷されてしまった古典部。彼らが、どうしたってさばけそうにないこの200部の在庫を売るために奮闘する物語・・・ちょっと違うか。その学園祭で、クリスティの「ABC殺人事件」をヒントにしたと思われる、ちょっとした泥棒騒ぎが起こる。古典部の面々が、この事件の謎を解く!

古典部シリーズ3作目。

昨年9月に、初めて読んだときも、面白い!と、思ったのですが、シリーズの最初の2冊を読んでいなかったため、わかりそうでわからない、もどかしい部分が多くて、十分に楽しめなかった1冊。「氷菓」「愚者のエンドロール」を読んでから再読する、と決めていたのですが、続編が出版されるとのことで、あわてて読みました。

やっぱり、前の2冊を読んでいると、全然面白さが違います!

先回はやはり、奉太郎のお姉さんとか、「女帝」入須先輩とか、唐突な登場人物に「?」と思いましたし。なんで、文集では「カンヤ祭」の謎を解いています!と、しつこく宣伝しているのに、読者には、その謎がいっさい語られないのか、とても不満だったし。どうやら探偵役らしい奉太郎が、謎解き以外の部分ではやたら影が薄いのが、不自然だなあと思っていたのです。

今回は、上のような不満が全部解消。本当に楽しかったです。

4人がばらばらに動き、それぞれがそれぞれの文化祭経験をするので、なんだか自分も、文化祭に参加して、一緒に盛り上がったような気分を味わえました。学生時代に戻った気分でした。

古典部4人のキャラを、把握できている状態で読んだほうが、ずっと面白い本ですね!4人の一人称が交互に使われる形になっているので、彼らの性格を知っていて読んで初めて、笑えたり、同情できたりする、一人一人の心の声がたくさんありました。

特に里志。そんなこと考えてたんだ〜、なんだかいとしいぞ!摩耶花に対する気持ちが、微妙に伏線として残っているので、私、気になります。

摩耶花の漫画研究会でのエピソードも、摩耶花のまっすぐさと、不器用さが出ていて、良かったです。摩耶花は結局、バトルが宣伝に利用されていたことに、最後まで気がつかなかったんだよね?これは、気がつかないほうがいいよなあ。

えるは・・・。心の声までまわりくどくて、そこが笑えました。奉太郎はいつもどおりです。
| や行(米澤穂信) | 12:24 | - | - |
● 氷菓 米澤穂信
4044271011氷菓
米澤 穂信
角川書店 2001-10

by G-Tools

「古典部シリーズ」の第一作。日常の謎系青春ミステリー。面白かった!

何事にも積極的には関わろうとしない、省エネがモットーの折木奉太郎が、姉の命令で入部した神山高校古典部で、仲間たちに依頼されてさまざまな謎を解いていきます。小さな謎解きを積み重ねて、最後には、部員の1人、千反田えるの叔父にまつわる、三十三年前の「コテンブ」におこった事件の真相を暴きます。

よく読むとストーリーはけっこう悲しいし、キャラクターが全然高校生らしくないのに、学園ミステリーの楽しさを失うことなく、さわやかなミステリー。なかなか良かったです。

「キャラクターが高校生らしくない」って事が、致命的になる学園物もあると思うのですが、この本の場合は、キャラクター造形として面白いし、内容とも合っているので、個人的にはOK。

「クドリャフカの順番」3→「愚者のエンドロール」2→「氷菓」1と、シリーズを逆読みしてしまったのですが、これは失敗でした。順番どおりに読んだほうがいいシリーズですね。「氷菓」を読んで初めて、最初から文化祭を目指していて、その準備をしてるシリーズなんだ・・・とわかって、ちょっと納得。こういうことであれば、「クドリャフカ〜」で文化祭当日がとうとう描かれて、どこかで見た名前が次々に出てくれば、ファンはそれだけで感無量。平均点を取れている作品であれば、花丸をつけたくなっちゃいますよね。

「愚者〜」がシリーズ中で1番好きだし、クオリティも高かったかな、とは思いますが、「氷菓」も良かったです。「古典部シリーズ」、かなり好きみたいです。「クドリャフカ〜」、近々、再読したいと思います。
| や行(米澤穂信) | 12:25 | - | - |
★ 愚者のエンドロール 米澤穂信 
404427102X愚者のエンドロール
米澤 穂信
角川書店 2002-07

by G-Tools

ネタバレはしていないつもりだけど警報は出しておこう

面白かった!満足♪

古典部のメンバーは、先輩から文化祭で上映するビデオ映画の試写会に招待されます。しかしそのビデオ映画は、廃屋でショッキングな殺人シーンが起きたところで、途切れていました。脚本担当者が、ストレスで胃潰瘍になり入院。続きを撮影できなくなったのです。古典部のメンバーは、その映像から、脚本担当者が想定していた、作中の事件の真相と、犯人を推理するように頼まれます。

青春ミステリー。甘酸っぱいというか、ほろ苦い感じです。省エネをモットーとしているにも関わらず、女性陣に振り回される、古典部部員の奉太郎くんが、とっても可哀想な感じに仕上がっています。ストーリーは、息もつかせぬ終盤が見事。どんでん返しにつぐどんでん返しで、何度もやられました。最後の最後まで気を抜けません。それに、ミステリーファンとしては、作中で語られる、ミステリーに関する薀蓄や、考察も、楽しめました。

また、順番を間違えてしまったんですけどねー。結局古典部シリーズは、「クドリャフカ〜」→「愚者のエンドロール」→「氷菓」と、完全に逆読みする事になってしまいました。でもそんなことは全然問題にならなかった。

「愚者のエンドロール」良かったです。

「氷菓」楽しみだなあ。
| や行(米澤穂信) | 16:45 | - | - |
★ 春期限定いちごタルト事件 米澤穂信 
4488451012春期限定いちごタルト事件
米澤 穂信
東京創元社 2004-12-18

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面白かった。もっと早く読んでおけばよかった。タイトルが、ほら、スウィートじゃない?表紙もスウィートだし。最近、日常の謎系は、やたら甘くて、甘ったるいのが苦手な私としては、ちょっと読むのを躊躇していたのです。

でも、これはよかったなあ。甘いといえば甘いけど、甘ったるくはなくて、コミカル。謎解き的には第三話の「おいしいココアの作り方」が良かったと思いますが、ミステリー的なレベルについては、まあ多くを語りません(苦笑)。学園ものにありがちな「仲良しグループ」が出てこないところがよかった。それに、「トラウマ」とか「家庭の事情」とか「将来の夢」とか、青春っぽい事を描きすぎないところもよかった。無理のある「爽やか感」がない感じで。

逆高校デビューというか、清くつつましい小市民を目指す、小鳩くんと、小山内さんというキャラクターが最高です!

この本では、謎をあばいて、目立ちたくなんかないのに、気がつけば謎解きの血が騒いでしまう小鳩くんが中心でした。詳しくは語られない、彼の過去をもっと知りたい!そして、最終話を読んだところ、小山内さんの過去というか、本性もすごそう!2人の関係も、いまだになんだか近いようで遠くて曖昧で。もっと読みたい、もっと続きを!と、切実に願ってしまいました。楽しみです。
| や行(米澤穂信) | 20:04 | - | - |
■ さよなら妖精 米澤穂信 
4488017037さよなら妖精
米澤 穂信
東京創元社 2004-02

by G-Tools

ミステリ・フロンティアから出ているので、もちろんミステリーの要素もありました。でも、基本的にこれは、「ボーイ・ミーツ・ガール」の青春小説でした。

1991年。ユーゴスラヴィアから日本に来たマーヤという少女と、4人の高校生が知り合い、2ヶ月という短い期間ですが、友情を育みます。主役は、守屋という、夢も目的もない、ごく一般的な男子高校生。彼は、自分の国の未来を真摯に考え、ユーゴスラヴィアの新しい歴史をつくるべく、学習に余念がないマーヤに、次第に惹かれていきます。他人にも物にも無関心であった守屋に、友人ができ、ユーゴについて勉強するようになったりするあたりが、すごく青春小説です。どうやら、守屋に好意を寄せているらしい頭のいい少女が出てくるところも、青春小説。

しかし、マーヤは内戦のはじまったユーゴに帰国してしまいます。ミステリーとしての「謎」は、マーヤが、ユーゴスラヴィア連邦の中の6つの国のうちどの国に帰ったのか?という点です。比較的安全な国なのか、それとも戦地か。ラストで守屋は、日本にいたころのマーヤの言動の端々を、自分の日記から思い出し、そして結論にたどりつきます。

というわけで日常の謎系ミステリーなんですが、まあ、ミステリーとして読んだら、つまらない本です。ストーリーに、山もないし、リアリティもないし、オチも弱い上に、さきがよめてしまう。

でも、キャラクターがとてもいいんです。守屋はどこかにいそうな高校生で、感情移入しやすいですし、マーヤは今の日本人にはいないような、しっかりした目的と壮大な夢をもった魅力的なキャラクターです。私個人としては、センドーに一番感情移入していました。おそらく、守屋よりずっと先に真相に気づいてしまったであろう彼女は(おそらくマーヤに知らされる前に気づいてただろうな・・・)、マーヤの事を「忘れたい」と言ったのです。たぶんセンドーは、守屋をすごく好きだったんだろうなあ、そして、マーヤのことも好きだったんだろうなあ。

この本は1992年が舞台ですが、私たち21世紀の人間は、その後10年のユーゴの惨状を知っているわけで・・・うーん、非常に切ない本です。

ミステリーファンにはオススメできないんですけど、ジャンルにとらわれず、本が好きという人には、オススメします。いい本でした。あとは・・・現代史と政治経済の苦手な中高生に読ませたい、かな。(職業病)
| や行(米澤穂信) | 10:24 | - | - |
● 犬はどこだ 米澤穂信 
4488017185犬はどこだ
米澤 穂信
東京創元社 2005-07-21

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アトピーが原因で銀行員を続けられなくなった紺屋。学生時代に、犬探しのアルバイト経験があるから、という理由で、犬探し専門の探偵になろうと決めます。ところが、開業したとたん舞い込んで来たのは、失踪した美女探しと、古文書の解読、という、「本物の探偵らしい」仕事。昔から探偵に憧れていたというおしかけ助手のハンペーと共に、紺屋は二つの事件を調べ始めます。

二つの事件は、実はつながっていて、調査の過程でしばしば交錯します。読者にはそれがわかるのですが、登場人物は、紺屋が美女探し、ハンペーが古文書、と、担当を分けているので、そのことになかなか気がつきません。紺屋がその事に気がついたとき、真相が一気に明らかになります。

一ひねりも二ひねりもある展開、終盤のスピード感、読後の余韻。とても良かったです。ちりばめられた小さな笑いのツボも面白かった(オロロ畑とか…)。米澤さんを見直しました。続編希望します。
| や行(米澤穂信) | 11:25 | - | - |
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