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★ 雪屋のロッスさん いしいしんじ
4840114935雪屋のロッスさん
いしい しんじ
メディアファクトリー 2006-02

by G-Tools

色々な仕事をしている人の、日常を切り取った30の物語。いしいしんじさんの本は、正直なところ、私には意味が分からないときがあるのですが、この本は大丈夫でした。読みやすくて、分かりやすくて、1つ1つの作品が、宝石のように素敵でした。しっとりした大人のための童話だけれど、子供にもぜひ読ませたいと思った本です。

私にしては珍しく、読むのに10日近くかけています。1つ1つの作品が、あまりにみじかく、表現されているものも、なんだかはかなくて、一気に読んだら印象が薄れてしまいそうでした。それがとてももったいなく感じて、すごく嫌で。だから、好きな作品に出会ったら、その日はもうそれ以上読みませんでした。

次に読んだら、また違う作品を好きだと思うような気がします。何度も読みたい本です。

・調律師のるみ子さん
事故で手指を無くしたるみ子さんは、ピアニストにはなれなくて、調律師になりました。るみ子さんは耳がとてもよく、調律師としても一流なのに、いつも少しだけ音をはずしておきます。「いつのまにかまた調律が必要になる」ように調律をするような、調律師になってしまったのです。たった4ページの中に、るみ子さんの希望と、絶望と、許しと、癒しと、再生がつまっています。すごい作品です。大好き。

・象使いのアミタラさん
当代一と謳われた象使い、アミタラさんと、象たちの絆を描いた物語。アミタラさんと、象の間には、彼らにしかわからない深い深い結びつきがあって、それは、人間には見えないものなんだけど、きっとアミタラさんには見えたんだと思います。ラストは哀しいけれど。

・コックの宮川さん
コックにとってもっとも大切な仕事は、冷蔵庫の中で恐怖に震える食材に、明日料理になる因果を含めておくことだそうです。これは・・・ファンシーな味付けだけど、かなりブラックユーモア。驚きました。

・サラリーマンの斉藤さん
すでに絶滅寸前で、2007年には完全に絶滅する、斉藤さんたちの最後の姿です。これはこれで立派な生き方だけれど、1つの時代が終るときに、それと心中しなければならないなんて、不器用すぎると思います。哀しいね。

・雨乞いの「かぎ」
雨乞いの家に生まれた「かぎ」には、立派で村人みんなに好かれる優しい2人の兄がいました。ある日、2人の兄は砂漠で粉々になってしまい、「かぎ」も脚を失いました。村人は、兄ではなくて「かぎ」が粉々になってしまえばよかったのに、と、言います。そして「かぎ」は・・・。ちょっと感動でした。
| あ行(いしいしんじ) | 07:41 | - | - |
● ぶらんこ乗り いしいしんじ 
4652071922ぶらんこ乗り
いしい しんじ
理論社 2000-12

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いまはなき弟を回想する、お姉さんが語り手です。弟が残した、大量のノートを読みながら、彼とすごした日々を思い起こします。弟は天才的な頭脳を持ち、ぶらんこがうまく、指を鳴らすのがうまかった。ノートには、弟が作ったたくさんの物語が残っています。

このブログにはのせてないけど、かなりいしいしんじさんの作品は読みすすめつつあって。どうやら、私にとっては、当たり外れの激しい作家さんらしいんです。で、この「ぶらんこ乗り」は、大当たり。今まで読んだいしい作品の中で一番好きです。

上手に書けませんけど、泣きそうになる本でした。サーカスや動物園・ブランコ・病気の犬・手作りのプレゼント・嘘の手紙、など、いしいさんらしい小道具の使い方が絶品。それに、弟さんの孤独が、すみずみまでしみこんだような作中童話も絶品。家族みんながとても優しいし、きちんとあらすじがあって、読みやすかったし。

とにかくよかった!
| あ行(いしいしんじ) | 01:29 | - | - |
■ ポーの話 いしいしんじ 
4104363014ポーの話
いしい しんじ
新潮社 2005-05-28

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また、不思議な本を読んでしまったぞ・・・。

大きな泥の川が中心を流れ、たくさんの橋がかかる町。川に近い下の方と、水害の少ない上のほうとで、歴然とした経済格差と差別のある町。そんな町で、ポーは、泥の川の岸辺に住みつく「うなぎ女」たちを母として育ちます。長い時間、泥に潜っていられるという特技を持っています。

「うなぎ女」たちの、ポーや、川に対する愛は深いです。彼女達は、難しい事など何も言わないし、ポーにほとんど何も教える事はできなかったけれど、全身全霊でポーを、そして川を愛し続けます。この「うなぎ女」の存在がこの本の中で一番印象に残りました。

さて。成長したポーは、この町で、泥棒の「メリーゴーランド」や、その妹「ひまし油」と出会って、様々な事を学んでいきます。500年ぶりの水害をきっかけに町を出た後も、様々な人に出会って、ポーは、「人の気持ち」「罪悪感」「つぐない」「裏表」「しあわせ」など、様々な事を学んで成長していきます。

途中までのあらすじを書くとこんな感じなんですけど・・・。この本の魅力は伝えきれないなあ。小説の世界は、現実世界の縮図なのですが、童話的な雰囲気を漂わせて独特の世界を作り上げています。でも、終盤のポーの様子は、かなりショッキングで、これは童話じゃなかった、と、思い知らされます。

装画がすごーくすごーく好き。エロール・ル・カインを思い出します。村松葉子さんという方なんですね。有名なのかな?メモっとこう。
| あ行(いしいしんじ) | 01:37 | - | - |
■ プラネタリウムのふたご いしいしんじ  
4062118262プラネタリウムのふたご
いしい しんじ
講談社 2003-04

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ひょっとしたら、より多くだまされるほど、ひとって幸せなんじゃないだろうか
プラネタリウム大好き。ということで、タイトルにひかれて読みました。

プラネタリウムに捨てられた銀髪のふたご、テンペルと、タットル。プラネタリウムの語り部である泣き男に育てられる事になります。誰にも見分ける事ができないほどそっくりなふたごは、とても仲が良く、優しい、いたずらっ子に育ちます。

二人が14歳のとき、奇術師の一団が村にやってきました。テンペルは彼らについていくことにし、タットルはプラネタリウムにとどまる事にしました。このあと二人は別々の時間をすごしていくことになります。大人になったテンペルは手品師として活躍するようになり、タットルは郵便の配達夫をしながらプラネタリウムの手伝いを続けます。

テンペルとタットルのまわりには、優しい人ばかりがそろっています。それでも、二人は安穏とした人生を送る事はできません。テンペルにも、タットルにも、自分たちにはどうしようもない事件、悲劇が、ときにはふりかかります。この本は、童話めいた雰囲気で作られてはいますが、深い作品です。「運命」や「人生」「命」を描いた作品でもあるし、「経済」「労働」や「環境」など、社会的な問題を描いた作品でもあります。長いだけのことはあります。

願わくば、もうちょっと、テンポ良く話が進んでくれると、読みやすかったのになあ、と、思います。テーマを詰め込みすぎたせいか、中だるみしてる印象が・・・。もったいない!

テンペルは旅先から、タットルに手紙を出し続けていました。二人が再会したときに、どんな会話が交わされるのかを楽しみに読んでいました。それだけに、ラストは衝撃でした。

いい本です。

| あ行(いしいしんじ) | 19:46 | - | - |
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