2013.08.16 Friday
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ほどけるとける 大島 真寿美 角川書店 2006-07 |
年季が入ったおしゃべりの難易度はけっこう高い。どこかに多量の毒を孕みつつ、表面的には対して誰も傷つかないですいすい前へ進んでいく。眺めながら、あんなふうにするすると綱渡りみたいに誰かと関係していくなんて自分には百年たっても無理なんじゃないかと思え、ため息が出そうになった。いやー、本当に、私もそう思います。本当に私も、女同士のあの世界には、小学生の頃から現在に至るまで、できるだけ関わらずにいようとしてきたし、関わった場合、いたたまれない思いをした記憶しかありません。女の子は大好きだし、女友達は大事だけど、ある程度の人数の女が集まった仲良しグループっていうところで、うまくやっていくには、そうとうのバランス感覚と、柔軟性と、ある意味での鈍さと、たくましさが求められ、女性の多くが生まれながらに持っているそれを、私は持ってないのです。
羽の音 大島 真寿美 理論社 2001-05 by G-Tools |
骨がぎしぎし鳴るたびに、焦るようになった。しかし、焦ることはないのだろうと、今、思った。むくむくを待つことにする。ふと糸が切れたように学校へ行く気がしなくなった高校生・菜生。婚約者がいるにも関わらず、初恋の人透樹が忘れられない事に気づいた姉・花保。両親の離婚で二人暮しになった家で、プチひきこもり状態になった菜生の1ヶ月を、1日1日丁寧につづっています。初雪の1日のエピソードが切なくて、印象的でした。ラストシーンも前向きでよかったです。
かなしみの場所 大島 真寿美 角川書店 2004-06 by G-Tools |
チョコリエッタ 大島 真寿美 角川書店 2003-03 by G-Tools |
私は私を悪魔にのっとられないように、適当なところで手を打って、霧湖が辻さんと結婚しても牧丘典子さんが父と結婚しても、私はくじけずにやっていけるよな、と呪文のように唱える。最終章「秋のフィルム」でのこの言葉が印象的でした。「悪魔」というのは、父親や母親代りの霧湖さんが自分から離れてしまうのが寂しくて、彼らの不幸を願ってしまう気持ちのことです。知世子さんは、素直でいい子ですね。このセリフは本当に健気で、成長したな、って感じで、頭をなでてあげたくなります。
水の繭 大島 真寿美 角川書店 2005-12 by G-Tools |