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■ 寒椿ゆれる 近藤史恵
寒椿ゆれる寒椿ゆれる
近藤史恵

光文社 2008-11-21
猿若町捕物帳シリーズ第4弾。面白かったな〜。まだまだ続きそうで嬉しいです。

千陰の義母・お駒の妊娠から話は始まります。つわりがひどくて何も咽をとおらないお駒のために、何か彼女の喜びそうな、物珍しい食べ物を…ということで、一家は巴之丞のオススメである猪鍋を食べに、乃の字屋に出かけます。猪鍋は家族みんなの舌にあい、お駒も喜んで食べる事ができたのですが、その数日後、乃の字屋で事件が起こります。

今回の見どころは、何といっても、新キャラのおろくです。結婚もしておらず子もいない千陰は、もしお駒に男子が生まれたら、弟にあたるその子が、家を継いでもいいと思っているのですが、千陰の子に家を継がせたい父親は、お駒が出産する前に千陰を結婚させようと、見合いをさせます。そのお相手が、おろくです。ちょっと変わり者で、初婚にしては年が行き過ぎているおろくですが、千陰とは気が合う様子です。目が利き、頭も良く、度胸もある彼女は、事件の解決のためにも活躍します。千陰とは実にお似合いです♪さて、千陰とおろくのロマンスの行方やいかに?
JUGEMテーマ:読書
| か行(近藤史恵) | 01:25 | - | - |
● サクリファイス 近藤史恵
サクリファイスサクリファイス
近藤 史恵

新潮社 2007-08

ネタバレ!

本屋大賞2位だったのね、と知って、図書館予約をかけたのはずいぶん前の事。いまごろ来たので読みました。うん、期待どおりに、面白かったです。

自転車ロードレース界を舞台にしたミステリー。その世界を全然知らなかったので、それだけでも、いろいろと興味深いものがありました。

自転車ロードレースは、スピードが風の抵抗に大きく左右されるため、集団で走るときは先頭を行くものが圧倒的に不利です。だから、先頭を紳士的に交替しながら、レースを進めることになっています。その、個人競技でもあり、団体競技でもあるような特性ゆえに、チームの選手は優勝を目指す「エース」とエースを優勝させるために走る「アシスト」に、残酷なまでにはっきり分かれています。

主人公は山に強いクライマーのアシスト白石誓。元陸上選手だった彼は、自分が勝つために走るということに執着できず、勝つことを期待されるプレッシャーに耐えられず、自転車競技に転向してきました。彼はアシストという立場を自分で望、自分の役割に誇りを持っています。自分はたとえゴールすることすらできない捨て駒になっても、「エース」を勝たせるために、風除けとなったり、レース展開を左右することに喜びを感じているのです。

しかし、誓のような人は少数派でしょう。競技を始めたころはほとんどの選手がエースを目指していたのでしょうし、エースを目指していまだ奮闘中のアシスト選手もいるし、自分の限界を知ってアシストであることに甘んじている選手もいる。そんな面々がチームメートとして過酷なレースを戦っていかなければならない。精神的に辛そうですね。それぞれに屈折しますよね。この作品の中にも、様々な選手が登場し、それぞれに葛藤しています。

そんな選手たちすべての気持ちを背負って、ゴールにトップで飛び込まなければならない。それがエースの宿命。誓のチームのエースは、プライド高きベテラン、石尾です。ある時、誓がひょんなことから良い成績を出し、大会で注目されたところ、その石尾に関する悪い噂が、次々に耳に入ってきました。以前に石尾は、自分より才能があると目されていた新人を、潰した過去があるというのです。「気をつけろ」と忠告された誓は、最初は信じませんが、次第に彼を警戒するようになります。

そして、とうとう、惨事が起こります。

後半に入ってからなんだかドロドロしてきてしまって、ちょっと読みにくかったのですが、すべての謎が解けてみたら、すごくすっきり!誓もだけど、とにかく石尾がカッコよくて!おかげで読後感がすごく爽やかでした。なるほど、それで、そういう意味でサクリファイス(=犠牲、生贄)ね。

わたし、この本、好きです!

そんなわけで、全体としてはとても面白かったのですが、ちょっと引っかかった2点を、こっそりメモっておきます。

・誓の過去についてですが、このようなメンタリティの持ち主であった彼が、陸上の世界で、いくら才能があったとしても、それなりに輝かしい結果を残せたなんて嘘みたい。

・誓の恋愛がらみの話は全体的に蛇足。彼女が魅力的に描けていなかったこともマイナスポイントだし、双方のお互いへの気持ちが、過去においても、現在においても浅すぎて、いらないエピソードのように感じられた。この小説に、恋愛話でスパイスを利かせる必要はなかったと思う。
| か行(近藤史恵) | 09:56 | - | - |
青葉の頃は終わった 近藤史恵
青葉の頃は終わった (カッパ・ノベルス)青葉の頃は終わった (カッパ・ノベルス)
近藤 史恵

光文社 2002-10
物語はまず、弦という青年が、学生時代からの仲間である瞳子の自殺を知るところから始まります。弦は、法子という恋人がいながらも、ひときわ美しい少女だった瞳子に憧れ、ずっと女神のように崇めてきました。瞳子は実家が裕福で、卒業後も特に働く必要はなく、ライブハウスなどで歌を歌ったり、CDを自主製作したりして過ごしていました。好きな歌を歌えて幸せだと語っていました。弦には、瞳子の自殺の理由がわかりません。そんな中、仲間たちに、死んだはずの瞳子から、ハガキが届き始めます。

瞳子はなぜ死んだのか?謎のハガキはいったい誰が何のために?

仲間たちが順番に語り手をつとめる手法が良かったです。弦にとっては可憐で愛らしい存在、手の届かない憧れの人ですが、ほかの仲間からすればそうではない。彼らは男2人女4人の6人グループだったわけですが、残された5人それぞれからみた瞳子はまったく別人のようです。ある人にとっては、我侭で時にイライラさせられる存在であったり、ある人にとっては、美しいだけの邪魔な存在であったり、まったく理解できない人であったりする。瞳子は1人のはずなのに、それぞれの見る瞳子はこんなにも違う。興味深かったです。

ただ、年齢設定はおかしい気がしました。全員大学を卒業して数年たって30歳手前という設定なのですが、読んでいる感じではまるで思春期のような…せいぜい20代前半の精神年齢設定のように思いました。悪い意味で(笑)。全員、子供っぽすぎる。そんな事もあって、とりあえず登場人物のだれ1人として感情移入できなかったので、それが読みづらかったです。

「推理小説」として読んだら全然面白くなかった。でも「青春小説」としてなら、多少、読みどころはわかる。でも、色んな不自然さのほうが勝っているし、魅力的な登場人物がいないことは「青春小説」としては致命的。そんなわけで、評価は低めですみません。
| か行(近藤史恵) | 09:58 | - | - |
■ ふたつめの月 近藤史恵
ふたつめの月ふたつめの月
近藤 史恵

文藝春秋 2007-05

「賢者はベンチで思索する」の続編。3編収録の短編集です。

・たったひとつの後悔
ずっと契約社員として働いていた雑貨屋さんで、やっと正社員になって頑張っていたのに、久里子はそれからたった2週間でリストラされてしまいました。しかし、街で偶然元の同僚と再会した久里子は、自分が自主退職扱いになっていたことを知ります。なぜそんな事に?

とりあえず…久里子のリストラのされ方はおかしいと思う。あんなリストラのされ方なら普通、納得できなくて、人事担当者かもっと上の人に確認するでしょう。泣き寝入りする必要ないもの。まあ、久里子の箱入り世間知らずお人よしぶりが表れているエピソードってことで流す感じなのかなあ。そんな細かいところで根本的に引っかかってしまったので、いまいち乗り切れませんでしたが、元上司の木村さんの気持ちは、わからなくもなかったです。

・パレードがやってくる
前作「賢者はベンチで思索する」でいい感じになった彼弓田くんは、久里子との関係をはっきりさせないままイタリアに留学してしまい、久里子は彼の気持ちをはかりかねて悶々としています。その弓田くんが休暇で一時帰国する物語。弓田くんは久里子に、自分の幼馴染で妹みたいな存在だという明日香を紹介し、何か悩んでいるようだから相談に乗って欲しい、と頼みます。この短編は、ベタ、でした。少女マンガとかティーンズ向けの文庫とかに似たような話が山ほどありそう。

・ふたつめの月
表題作だけあって、これが一番好きでした。久里子のよき相談相手である赤坂老人が、交通事故にあって入院しなければならなくなりました。赤坂は久里子にある歩道橋の街灯を壊してほしい、と頼みます。彼はなぜそんなことをする必要があったのか?あたたかくて、ちょっとしんみりする、いい話でした。
| か行(近藤史恵) | 06:59 | - | - |
■ モップの魔女は呪文を知ってる 近藤史恵
モップの魔女は呪文を知ってる (ジョイ・ノベルス)モップの魔女は呪文を知ってる (ジョイ・ノベルス)
近藤 史恵

実業之日本社 2007-06-15
深夜のスポーツクラブでひとり残ったスタッフの行動は―。希少種の猫を入手するため、バイトをかけもちする女子大生が―。小児病棟に配属された新人看護師の前に現れた“魔女”の正体は―?妹を殺害してしまったアクセサリー通販会社社長は進退きわまって―。謎を洗いたてて事件をリフレッシュ!女清掃人探偵掃査中。
近藤史恵さんにしてはライトで読みやすく、人の弱さに温かく、でもやっぱり鋭いところもあって、うん、このシリーズは好きだな。

キリコちゃんはすっかり探偵役として裏に回るようになってしまいましたね。そしてますます精神年齢不詳なキャラクターに…。キリコ自身の物語も、また読みたいなあ、と、思いました。旦那さん元気かなあ?
| か行(近藤史恵) | 02:20 | - | - |
■ にわか大根 近藤史恵
にわか大根 猿若町捕物帳 (猿若町捕物帳)にわか大根 猿若町捕物帳 (猿若町捕物帳)
近藤 史恵

光文社 2006-03-23

猿若町捕物帳シリーズ。3作目はとうとうハードカバーです。シリーズの前の2作は、200ページ程度の、物理的にはとても薄い文庫本でした。今回は、3作収録の中編集になっていて、文庫版3冊分の長さと内容があるので、満足感たっぷりです。ライトでハートウォーミングな時代ミステリィです。

近藤さんの時代小説の特徴は、艶っぽさ・色っぽさだと思います。どの物語でも、男と女の愛憎劇が事件の背景にあります。このシリーズも吉原の花魁、女形の役者、絵師など、一見華やかな世界で生きる人々が、レギュラーとして出てくるシリーズなので、ストーリーとは直接関係ないところでも、しっとりと色気のにじむシリーズです。

あくまでも、にじむ、という程度なところが、また良いんですよね。時代小説の中には、ある程度年のいった男性向けと思われる、不必要なサービスシーンがものすごーく目障りなものがあるのですが、そういう感じではありません。

主役の同心・千蔭が、とことん朴念仁で、その手の色気をまったく解さない微笑ましい人物。前作ではお見合いをしたのですが、その相手はすでに隠居の身である自分の父親に惚れて、結局彼は、いまだに一人身です。朴訥で、温かくて、親切で、頭脳明晰で、行動力があって、という、パーフェクトな正義の味方。だから、どんな事件が起きても、どんなシーンでも、とりあえず安心して読めます。

1つ1つの短編としては、どろどろの愛憎劇を描き、シリーズ全体としては朴念仁の男と、彼の周りの温かい人間関係を描いていく。このあたりの雰囲気作りのバランス感覚がすごいなあ、と、思います。艶っぽいのに卑猥じゃない。陰惨な事件を扱っても温かい。ギリギリのところで、上品にまとまっている本です。

とはいえそろそろ、千蔭にも恋をしていただきたいものですねー。相手はできれば、どうやら千蔭を思っているらしい花魁・梅が枝ではないほうが面白いですね。ライバルが登場した時の、梅が枝の戦いっぷりを見たいので!

・吉原雀

吉原で、3人の遊女が立て続けに亡くなります。病死の診断が下ったので、事件性はないと思われ、祟りではないかと恐れられています。しかし、彼女たちを結ぶ「雀」というキーワードに気がついた千蔭が、この連続死の謎を解きます。

・にわか大根

人気の実力派女形の芝居が、突然下手になり、客席からは「にわか大根」という罵声が飛ぶようになりました。そんなおり、彼の幼い息子が殺されます。事件の悲しい真相は?

・片蔭

人ごみの両国橋で、ある男の財布をすった茂吉は、とりあえずその財布を、近くにあった天水桶に投げ入れておきました。あとからその財布を回収しにいった茂吉は、その天水桶から男の死体を発見してしまいます。真面目で人当たりも良く、人に恨まれるような人物ではなかった、というその男が殺されたのはなぜ?
| か行(近藤史恵) | 11:42 | - | - |
● 黄泉路の犬 近藤史恵 
4198506760黄泉路の犬
近藤 史恵
徳間書店 2005-09-21

by G-Tools

強盗に盗まれたのは、たった2万円。脅された姉妹は、軽い怪我をおっただけですみ、犯人は別件で捕まってから自白し・・・事件は解決したように見えます。しかし、強盗は姉妹の飼っていたチワワも2万円と共に盗んでおり、逃げるとき邪魔になって捨てていました。姉妹は、可愛がっていたチワワを諦める事が出来ません。

南方署強行犯係シリーズの2作目。新米刑事の圭司と、先輩のユニークな女刑事・黒岩が、事件を追います。警察ミステリーなのですが、黒岩があまり組織の臭いのしないキャラクターなので、あまり「警察小説」な感じはありません。むしろ近藤さんらしい、リアルな人間ドラマのほうに重点が置かれたシリーズです。軽いタッチのイラストとは全然そぐわない、読み応えありまくりな本です。三作目にも期待してしまおう。

一作目のテーマはDV(家庭内暴力)だったのですが、今回のテーマは「アニマル・ホーダー」です。「アニマル・ホーダー」という言葉が何を意味するのか、私は初めて知ったのですが、これを説明してしまうと、かなりのネタバレになるのでやめておきます。

悲しくて、切なくて、可哀想な本でした。圭司のプライベートが描かれた部分の、ほのぼの感が好きです。テーマがとことん暗いので、そこがないと、読めない・・・。黒岩刑事のまっすぐさや、圭司の素直さに救われます。
| か行(近藤史恵) | 00:40 | - | - |
● 狼の寓話 近藤史恵
4198506140狼の寓話―南方署強行犯係
近藤 史恵
徳間書店 2003-10

by G-Tools

新米刑事の會川は、一週間前の殺人事件の捜査にまわされます。殺人事件は初動捜査が重要。一週間も前の、しかも犯人がわかっているような事件に會川が回されたのは、着任早々ミスを連発したためです。しかも組まされた相手は、黒岩という変わり者の女性刑事です。

夫が殺され、犯人は妻で、あとは妻を発見し逮捕するだけ、という簡単な事件のはずなのに、黒岩刑事は何かひっかかるところがあるようで、なかなか妻の逮捕状を請求しようとしません。妻には動機がないからです。読者としては、章ごとに冒頭に差し挟まれる、ルカという少女の童話も気になります。殺人事件の犯人は?動機は?童話の意味は?

そんな感じで、先が気になって、一気に読めました。オススメです。

ふもとの村からいけにえとして、山の神様にそなえられた少女、ルカ。しかしルカは、生前赤いクモを殺していたので、神様に受け入れられませんでした。死なないけれど、この山でしか生きていけない体になったルカは、何度も何度も、繰り返し狼に食べられる事になります。おなかのすいていないときには、とても優しくて、他の危険からルカを守ってくれる狼ですが、ときどき飢えて、ルカを食べるのです。

この童話の意味するところが、明らかになるにつれて、事件の真相もはっきりしてきます。あっ!って感じで・・・。とても辛くて、痛くて、切ないお話でした。でも被害者・加害者以外のキャラクターの明るさに救われていました。

近藤さんの警察小説は初めて読みましたが、先輩刑事たちが、かっこよかったです。それに、単純明快な兄、さっぱりした母など合川の家族も素敵。キャラクターがしっかり作りこまれているのに、この一冊の中ではそんなに生かされてなかったので、たぶんシリーズ化するんじゃないかなあ。して欲しいなあ。楽しみです。
| か行(近藤史恵) | 23:11 | - | - |
★ ほおずき地獄 近藤史恵 
4344402847ほおずき地獄―猿若町捕物帳
近藤 史恵
幻冬舎 2002-10

by G-Tools

ネタバレアリ!

ほおずきを落として姿を消す幽霊が、吉原に出るという噂が流れます。時を同じくして、ちりめん細工のほおずきが、現場に残される、殺人事件が起きます。同心・千蔭は歌舞伎役者・巴之丞と花魁・梅が枝の協力を得て事件の解決に乗り出します。

猿若町捕物帳シリーズ第2作。2作目ということもあって、堅物の同心・千蔭のキャラクターがはっきり前に出てきました。なかなか、かっこいいです。女性受けするキャラクターだと思います。協力者の巴之丞・梅が枝や、部下の八十吉・惣太、遊び人の父親・千次郎など、脇のキャラも固まって、1作目に比べると、格段に読みやすくなっています。

ストーリーもいいんです。1作目と同じように、お玉という少女の物語が平行して語られるので、彼女と殺人事件に関わりがあることは、読者にはばれています。でも、1作目と長さはあまり変わらないのに、構成が複雑で、途中でみんなわかっちゃうというような事はなく、謎解きに引き込まれます。

それに、お玉の物語が悲しくて、心を打たれます。切なくて、やりきれない物語なのですが、読後感はさわやかなんです。

話題になっているのを見たことがないけど、めちゃめちゃオススメ本です。続編が出ないのが残念。
| か行(近藤史恵) | 05:22 | - | - |
■ 巴之丞鹿の子 近藤史恵
4344401670巴之丞鹿の子―猿若町捕物帳
近藤 史恵
幻冬舎 2001-10

by G-Tools

ネタバレアリ!

江戸の町で起こった、若い娘だけを狙った連続殺人事件。南町奉行所同心・千蔭は、殺された娘が皆、巴之丞という人気役者の名がついた、鹿の子の帯揚げをしていた事を不審に思う。犯人の狙いは?

連続殺人事件と平行して、お袖ちゃんという町娘の家庭の事情や、恋愛が描かれていきます。このお袖ちゃんのストーリーと、連続殺人事件が交錯するのは、ほとんどラストに近い頃です。だから、読者は、連続殺人事件の真相が、お袖ちゃんの身辺のできごとに関係があるんだろうな、ということが、千蔭さんよりずーっと先にわかってしまっているわけで・・・これは構成上かなりもったいない気がします。

女流作家の、読みやすい時代ミステリーといえば、宮部みゆきさんがいらっしゃって、はっきり言って、小説的には宮部さんのほうが巧いと思います。でも、お袖ちゃんと小吉の恋愛のエピソードには、いかにも近藤史恵さんらしい女性らしさというか、湿気や粘着性やたくましさがあって、良かったです。

でもまあ、近藤さんって、歌舞伎が好きなんだな、ってことが一番伝わってきたことで、印象の薄い本でした。しかし!これはシリーズもので、同じ日に読んだ二作目が、とても良かったのです!

ほおずき地獄 近藤史恵 感想文へ
| か行(近藤史恵) | 05:04 | - | - |
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