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▲ そのときは彼によろしく 市川拓司 
4093861382そのときは彼によろしく
市川 拓司
小学館 2004-03-31

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小さなアクアショップの店長・智史。お見合いで知り合った女性と結婚間近。そんな彼のもとに、美しいアルバイトがやってきます。世間にうとい智史がしらなかっただけで、実は有名な女優だった彼女には、智史との間に不思議な縁があるのです。

転校を繰り返してなかなか人と打ち解けられなかった智史が、13歳のときに仲間になった、祐司と花梨。ゴミの絵ばかり描いていた祐司、まるで男の子みたいだった花梨、2人との別れ、挿入される智史の回想シーンが切なくて、綺麗な物語に仕上がっています。

雰囲気勝負のファンタジーです。悪くはなかった。でも、内容の割に分厚いなあ・・・っていうか、内容が薄い。市川さんの本には、当たりはずれがありますね・・・。
| あ行(市川拓司) | 11:36 | - | - |
■ いま、会いにゆきます 市川拓司 
409386117Xいま、会いにゆきます
市川 拓司
小学館 2003-03

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連続ドラマが終わったので再読してみた。もともと、初読のときから嫌いではなかった本。「泣かせる系」を酷評しつつ、毎回きっちり泣く私は、もちろんうるうるきましたよ。別れを予感した恋って、やっぱり切ないですよねー。それに、澪さんって、素敵な人!

原作、映画、ドラマ、と見たけど、これは映像化して成功だった作品だと思います。原作も、悪くないんですが、やっぱり映画はすごい!よく、あんなに美しい映画にしたなあ、と、感心してしまいます。ヒットするだけのことはあったんだなあ。

あ、ドラマはね。単なる映画の引き伸ばしだった。映画を見て、説明不足だよなあ、と、思った部分は改善されてたけど、やっぱり薄まってしまった感じ。それに、数少ないラブシーンで、絵の美しさも、演技も負けてた。私は、成宮君ってかっこいいなと思ったし、ミムラも竹内結子に負けてないな、演技もうまいなと思ったけど、それでも、ラブシーン限定で言えば、映画のほうが数段良かった。恋愛ものである以上、ラブシーンで負けたら、負けだよね〜。

この本は、嫌いではないけど、惜しいなあ、って思っています。文章が洗練されていない気がする。あ、違うなあ。洗練されてなくてもいいんだけど、安定していて欲しい。ストーリーは素敵だし、文章も難しくないんだけど、どうにも不安定な読み心地。わざとかなあ、とも思ったんだけど・・・。最近の市川さんの作品からは、こういう印象は抜けていっているので、やはり初々しさだったのかなあ、と、思います。
| あ行(市川拓司) | 01:14 | - | - |
▲ 世界中が雨だったら 市川拓司 
4104767018世界中が雨だったら
市川 拓司
新潮社 2005-06-29

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らしくない。これが最初の感想です。

市川拓司さんといえば・・・というイメージは、私の中ではすっかり固まっています。私の好きな「恋愛写真」も、「いま、会いに行きます」も、「Separation」も「弘海」も。登場人物はどこまでも優しくて、ストーリーはとても切なくて、愛に満ちた本を書く人。泣かせてやる!という意欲に燃えた本を書く人(笑)でもあります。

でも、この本は違います。きれいな表紙とタイトルから、今までの市川さんと似たような作品を予想していたので驚いてしまいました。物語が黒いんです。ダークなんです。死の近くにある物語であるという点は、市川さんらしいのですが、読みながら途中で、何度か作者を確認してしまったくらいです。

・琥珀の中に
華奢な女性ばかりを描いていたイメージのある市川さんですが、この作品の恋人は、太っています。それだけでも十分意外なのに、ストーリーも暗かった・・・。主人公は高校生で、高校生活がテンポ良く描かれて、読みやすいんです。でも、終盤、少女の内側にある闇が描かれるにつれ、市川さんに対するイメージを改めざるを得ませんでした。

・世界中が雨だったら
一番印象的だった物語。テーマはいじめと、虐待。さびしくて、悲しくて。胸をしめつけられる物語です。いじめられっこの「僕」に起こる「何か重大な事」は暗示されるだけで、はっきりとは書かれないままストーリーが進んでいきます。その謎は、終盤で明かされるのですが、「僕」の能動的な行動だったところが、好きでした。そして、お姉さんと「僕」を好きだった少女の会話や、その後のお姉さんの考えにはすごく共感しました。ただ・・・最後のページは、私はいらなかったな・・・。

・循環不安
26歳になっても、一度も女性と付き合った事がない。愛し方がわからない青年が、愛を求めて転がり落ちていく様子を描いています。母親との関係がちょっと・・・ついていけませんでしたけど。この作品はジャンルとしてはホラーになっちゃうんだと思います。

「琥珀の中に」以外は、最近書かれたというわけではなく、市川さんがベストセラー作家になる前に書かれたもののようです。つまり、もともと、彼にはこういう引き出しもあったんですね。帯に「ここにいるのはもうひとりの僕です」と、あるのですが、つまりはそういうことなんでしょう。まだまだ色んな作品が書ける作家さんなんですね。これからに期待できそうで嬉しいです。

ただ、この本はあまりにも、乙一さんに似すぎている。そして、勇気を出して言えば、どれをとっても、乙一さんの似たような作品に負けている、と、思いました。(ああ、言っちゃったよ・・・)
| あ行(市川拓司) | 12:39 | - | - |
▲ 弘海ー息子が海に還る朝 市川拓司 
4022579900弘海 -息子が海に還る朝
市川 拓司
朝日新聞社 2005-02-18

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うーん。これは・・・。絶対、息子が死ぬんだろ!と、最初から決め付けていた私が悪いのかもしれませんが・・・。

もともと虚弱体質だった息子に、ある日不思議な傷が現れ、頭痛が続きます。誰も彼の病気を治療できません。しかし家族は、同時に、息子の水中での能力がどんどん増していることに気付きます。

前半は、とにかく市川節全開で。家族愛にあふれていて、ほほえましく読めました。っていうか前半であれだけ、「泣かせてやる!」っていう勢いがあったら、私じゃなくても、息子は死ぬんだな、って思うよ。市川さんだし。

後半、ストーリーが進展し始めると、あれれ、手に余ってるんじゃ?という感じでした。これは、いつもの市川さんのように、雰囲気と情緒で泣かせて、強引に終わらせるのは、無理のある題材です。もうちょっとストーリーの骨格をしっかりさせて、ファンタジーというか、SF部分のリアリティを出してくれないと、収拾ついてません。もちろん泣けないしー。

残念!
| あ行(市川拓司) | 22:03 | - | - |
★ 恋愛写真 市川拓司 
4093861196恋愛写真―もうひとつの物語
市川 拓司
小学館 2003-06

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すれ違い続ける、片想いの物語。泣けます。

市川拓司さんというのは、小説のカラーがはっきり決まっている方で。

彼女が死ねば、それだけで感動できるっていうんですか、とか。ださい男がもてまくる、単なる男の願望&妄想小説だ、とか。市川さんって、背の低い華奢な女がタイプなんですね、とか。

冷たいつっこみを入れたくなる。っていうか、すでに↑で入れてしまった。

でも、純愛ブームの他の作品群よりは、わたしは、市川さんの本が好きだ。たぶん、ファンタジーだからだろうと思う。「ありえない」っていう意味でファンタジーなのではなくて、(読んだ人にはわかると思うけど)設定に童話的要素が入っているから。

実際に苦しんでいる人がいる病気や、事故・事件を取り上げておいて、浅はかにも「読者を泣かすために最後に殺す」ような小説を作られると、腹が立つ。(それでも泣くが…)。現実には、「助かって幸せになる」「後遺症は残るけど助かる」「助かるけど2人は別れる」など、色んな選択肢があるだろうに、ブームだからって死なせちゃうなんて安易だ。楽なオチに逃げたんだな。なんて、思ってしまって冷める。

市川さんの作品はファンタジーなので、腹が立たない。だって、それ以外に選択肢がないように、初めから世界が設定されているのだから。その中で登場人物が、健気にがんばれば…そりゃあ、私だって泣くよ。

それにこの本は、当然だけど「Separation」よりずっと上手になったなあと思う。文章もクセが抑えられてうまくなってるし、色んな意味でバランスがいい(たぶん)。そして「いま、会いに行きます」や「その時は彼によろしく」より、物語に広がりも深みがある、というか、想像力を刺激する、と思う。市川さんの小説の中では、イチオシ。

わたしはこの本を図書館で借りてよんだ。だから、誠人と同じ視点で、静流の体質や病気の事を何も知らずに読み始めた。だから、誠人と同じように静流を待ってしまって、真相を知って愕然として、本当に悲しかった。

でも、この本って帯にでっかく「恋をすると死んでしまう」って書いてあるんだよね。本屋さんで買って読んだ人たちは、この予備知識があって読むんだよね…。どうせ死ぬんだろ、それで泣かそうっていう魂胆なんだな、なんて思いながら読んだら、わたしなら感動したくてもできないと思う。(うちの市の図書館本には、一部背表紙の裏に帯がはってあるものがあって、それで読み終わってから気がついたの。先に見なくて本当に良かった。)

映画のノベライズとはいえ、「もうひとつの物語」で「オリジナル小説である」と書かれているのに、帯にこんなに重要なネタバレがあっていいのかなあ?
| あ行(市川拓司) | 21:13 | - | - |
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