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■ うたうひと 小路幸也
うたうひとうたうひと
小路 幸也

祥伝社 2008-07-23

音楽業界を舞台にした短編集。いわゆる、「ちょっといい話」。というより「すごくいい話」ばっかり。プロの音楽家の厳しい世界を舞台にしているのに、出てくる人がみんないい人で、まるで童話のような、おとぎ話のような。心が洗われます。

□ クラプトンの涙
○ 左側のボーカリスト
○ 唇に愛を
□ バラードを
○ 笑うライオン
□ その夜に歌う
△ 明日を笑え
これ、ドリフだよねえ。ってことは、これ以外の作品にも、モデルがあったりするのかしら?
| さ行(小路幸也) | 21:51 | - | - |
■ モーニング 小路幸也
モーニング Mourningモーニング Mourning
小路 幸也

実業之日本社 2008-03-19

あの人のためにしたことを、後悔したことなんか、ない――。
大学時代の親友である河東真吾の訃報に接した私。葬儀のため福岡に集まったのは、
同じ大学でバンドを組み、四年間一つ屋根の下で共同生活を送った淳平、ヒトシ、ワリョウ。
葬儀を終え、それぞれの家へ、仕事へ戻ろうとしたとき、今は俳優となった淳平が言った。
「この車で一人で帰って、自殺する」。

何故?しかもこんなタイミングで?
思いとどまらせるために、私たちは明日の仕事を放り投げ、レンタカーで一緒に東京まで向かう決意をする。
「自殺の理由を思い出してくれたら、やめる」。
淳平のその言葉に、二十数年前のあの日々へと遡行するロングドライブが始まった。
それは同時に、懐しい思い出話だけでは終わらない、鍵をかけ心の奥底に沈めた出来事をも浮上させることになっていくが……。
車中でひたすらに学生時代の思い出が語られるのですが、5人の共同生活が本当に楽しそうで、登場する女性たちもそれぞれに魅力的で、読みやすい一冊でした。メインの淳平が自殺したがっている理由という謎以外にも、彼らの仲間だった茜さんという女性をめぐるいくつかの謎や、5人が当時に犯した犯罪とは何か、など、少しずつ様々な謎が明かされていく構成で、飽きずに読めました。

学生時代の友達って、いいもんだよね、と、素直に共感できる作品でした。

淳平の自殺の理由ってやつは、私は途中で気がついちゃって、たぶんそうなんだろうなあと思っていた通りだったので、爽やかスッキリだったのですが、それだけで終わっていたら物足りなかったと思う。エンディングの部分がすごく生きていますね。真吾と淳平の曖昧な関係についてはちょっと理解できませんけど。なんなんでしょうねえ、女にはわからない感じですかね。男性読者にはわかるの?

21といいこの作品といい、最近小路さんは、学生時代の仲間をどなたか亡くされたのかな?
| さ行(小路幸也) | 17:37 | - | - |
▲ カレンダーボーイ 小路幸也
カレンダーボーイカレンダーボーイ
小路 幸也

ポプラ社 2007-11

2006年の現在、三都(イッチ)は大学教授、安斎(タケちゃん)は大学の事務局長。幼馴染の2人は、ある日同時に、48歳の記憶と精神を持ったまま小学5年生だった1968年にタイムスリップ。そしてそのまま2人で、睡眠をきっかけに2006年と1968年を行き来するようになります。

タイムスリップを繰り返すうちに、2人には、1つの目標ができました。それは、三億円強奪事件をきっかけに一家心中で亡くなった、クラスメートの里美ちゃんを、その悲劇から救い、同時に三億円を奪うことです。里美ちゃんを助けられなかったことを後悔し続けてきたイッチと、現代でどうしても三億円が必要になってしまったタケちゃんは、その目標に向けて全力を尽くします。

イッチに過去パートを、タケちゃんに現在パートをという形で語り手を分ける手法は、面白かったなあと思います。最後まで読むと、これがなかなか効いていました。こういう工夫のある小説は、個人的に好きです。

タイムトラベルものなので、いわゆるタイムパラドックスをどう処理するのか、という部分も見どころの1つだったと思うのですが…そこは情緒的に雰囲気でうまくごまかそうかなっていう感じでしたね(汗)。

2人のたてた計画が終了したときに、タイムスリップも終了するのであれば、この不思議な現象はつまり、この計画のために始まったってことだと思うのですが、それなのに、タイムスリップの原因がまったく語られないのが不自然。原因は無理でも、せめて、タイムスリップのきっかけくらいは描いて欲しかったです。

そもそも、イッチが里美ちゃんの手紙を受け取ったのは、里美ちゃんの死の後だったにも関わらず、彼がこんなにも長い時間、里美ちゃんの死に対して責任を感じ続けている理由が、よくわからない。他にも、描いて欲しい事が、描かれていなくて残念な感じでした。

逆に、タケちゃんのパートの浮気のエピソードは、ばっさり、なくてもよかったかなあ。少年時代の理想を追いかけるイッチの対象として、現実の大人の世界で生きる、タケちゃんの俗物ぶりを描くために必要だったのかな?とも思いますが…。でもやっぱり浮気エピソードのパートは間延びしていて退屈だったので、三億円問題だけで十分だった気がします。

イッチのパートは脇役がみんな魅力的で良かったのですが、お姉さんとすずめのエピソードは、無しだと思いました。「そのくらい本気で漫画家になりたかった」というだけ事をアピールするためのエピソードなら、まあいいんですけど。想像力不足を実体験で補いたい、なんていうのは、才能のない人が諦める寸前に追い詰められてする事じゃないか、と、思ってしまったので、才能ある設定のキャラクターと合わず、ピンと来ないエピソードでした。

ジャンルとしても、雰囲気としても、好きなタイプの小説だったのに、細かいところで色々惜しくて、入りこめないまま終わった、という感じでしょうか。

それでも、ラストにはちょっとやられちゃいましたけど。切なかったです。

JUGEMテーマ:読書
JUGEMテーマ:SF小説
| さ行(小路幸也) | 03:52 | - | - |
▲ 東京公園 小路幸也
東京公園東京公園
小路 幸也

新潮社 2006-10-28

圭司はカメラマン志望の大学生。幼い頃に亡くした母親がフォトグラファーだったこともあって、被写体として「家族」にこだわっています。学校とバイトの間に時間があれば、東京中の公園に「家族」を撮影しに出かけます。

ある日圭司は、水元公園で見かけた母子を撮りたいと思いますが、許可を取りに行こうとしたとき、その家族の父親、初島さんに見つかり、断られてしまいます。しかし初島さんは圭司に、その母子のおでかけを尾行し、写真を撮って欲しいというアルバイトを頼みます。

圭司はそのアルバイトを引き受け、初島さんの妻、百合香さんと、娘のかおりちゃんを撮り続けます。そして、ファインダーごしに百合香さんを見つめるうちに、しだいに百合香さんにひかれていきます。百合香さんも圭司に気づき、ふたりの間に無言の交流が始まります。しかし、初島さんが、そんなアルバイトを頼んだ理由や、百合香さんが異常なほどに公園めぐりをし続ける理由が徐々に明らかになり、圭司もこのままではいけないと、決断を迫られることになるのです。

このようなストーリーの間に挟み込まれるように、圭司の日常生活が描かれます。アーチスト志望の同居人、ヒロ。幼馴染で元カノの富永。義姉の咲実と、故郷の両親。バイト先のマスター。誰1人、悪い人が出てきません。みんな平凡だけど、誠実で、思いやりのあるいい人ばかりです。特に、ヒロと咲実がそれぞれにかっこよくて、印象的でした。

派手ではないけれど、退屈ってことはなくて、穏やかで、温かい、「ちょっといい本」。ラストも爽やかで、素敵でした。

でも、ぶっちゃけ、私にとっては、どこか気恥ずかしい本でした。おじさんが書いた青春だなってひしひしと感じていしまい、どこか素人っぽい気がして、私のようなおばちゃんには、微笑ましいんだけど、気恥ずかしい。まあ、そんなところも、別の日に読んだら、好きかもしれないという程度の、微妙な境界線上にあるんですけれど・・・。
| さ行(小路幸也) | 14:52 | - | - |
■ キサトア 小路幸也
キサトアキサトア
小路 幸也

理論社 2006-06

読んでみるまで知らなかったのですが、児童文学でした。児童文学らしくファンタジックな雰囲気の本でしたが、大人が読んでも、好きになれると思う。出てくる人たちがとにかく温かくて、心に残るたくさんの言葉がちりばめられた、素敵な本でした。優しい気持ちになれる一冊です。

主人公は、目が悪くて色がわからない少年、アーチ。アーチには、キサとトアという、双子の妹がいます。この双子も病気です。キサは日の出とともに起き、日の入りとともに眠ります。トアは、日の入りとともに起き、日の出とともに眠ります。自分の意志で眠りの時間をコントロールできないのです。
 キサは普通に学校に行って友だちと勉強して遊んでいられる。ほんの何時間か、普通の子より起きるのも寝るのも早いっていうだけのこと。
 日が沈まないうちに晩ご飯を食べて、葉をみがいて顔を洗って、そしてパジャマを着てベッドに眠るトアの隣に入っていって、トアが目覚めるのを待つ。
 僕もいつもそばにいる。
 家の窓から見える海に夕陽が沈みはじめると、トアがゆっくりおきだして、でもキサは少しずつ眠りだして、二人はうつらうつらしながらほんの少しだけの会話をする。
 おはようトア、おはようキサ、今日はいい天気だったよ、昨日はお月様が満月だったよ、おやすみキサ、おはようトア。
 2人はそうやってすれ違ってしまう。
 おやすみおにいちゃん、おはようキサ、おはようおにいちゃん、おはようトア。
 キサが眠ってしまったベッドを出て、夕陽が完全に沈んでしまった時間から、トアの一日が始まるんだ。
アーチもキサもトアも、病気なのですが、やはりトアが、一番かわいそうでした。でも、そのトアを常に気遣う家族や、町の人々の様子には、心温まるものがありました。

主人公はアーチですが、やはりタイトルになっている、キサとトアが、物語のキーパーソンなんですね。キサとトアという、特殊なすれ違い生活を送るしかない病気の2人を、母親のいない家庭で、父が、兄が、そして町の人々が、どのように見守り育てていくのか、そこでどんな人間が、そしてどんな人間関係が形成されていくのか、そんな物語だったんだと思います。

たとえばアーチにだって、色がわからないという障害がある。それでも、そのことを後ろ向きに考えることはいっさいなく、それを才能の一部として素晴らしい芸術作品を制作し、2人の妹を優しく守る、素敵なお兄ちゃんに成長しています。アーチは、素敵な少年でした。

さて。三人の父親、フウガさんは、水平線から日の出と日没の両方が見えるこの町が、キサとトアにもよいのでは、と考えて、この町にやってきました。フウガさんは「風のエキスパート」です。夏になると吹く「夏向嵐」(かこらし)をしずめることができます。「風のエキスパート」以外にも、色んな「エキスパート」がいるようで、町の人たちは、静かに自然と共生しています。どうやらアーチにも「エキスパート」の素質があるようです。

家族、友人、病気、自然と人間の関わり方、など、色んなテーマのつまった小説でした。読むたびに違うところが印象に残りそうなので、これは、買って手元に置いておきたいですね。
| さ行(小路幸也) | 22:33 | - | - |
■ 東京バンドワゴン 小路幸也
photo
東京バンドワゴン
小路 幸也
集英社 2006-04

by G-Tools , 2006/06/03





明治から続く老舗の古書店、そして最近では隣接するカフェも経営する、堀田家という家族の物語。懐かしく、温かく、素敵な本でした。ストーリーとしては、一応日常の謎系ミステリーの味付けがなされていますが、基本的にホームドラマです。

最初にずらーっと人物紹介がされています。かなりの大家族なので、この家族構成をつかむだけでも、けっこう大変でした。頑固親父の勘一を筆頭に、伝説のロックンローラーの父、古本屋を継ぐつもりの息子夫婦、シングルマザーになった娘、女性問題の絶えない愛人の息子、などなど個性豊な面々です。それぞれには重めの設定が色々あったりもするのに、明るく、さっぱりとした人ばかりで、気持ちの良い家族です。

こんな家族の中から、小路さんが語り手として抜擢したのは、勘一の妻で、すでに亡くなっているサチです。彼女の一人称で物語が進むという意外性が、この小説の最大の魅力だと思います。彼女は、まあ幽霊なわけですが、特殊な能力が使えるわけではなく、ただただ家族を見守っているだけの存在。ストーリーは、格別、盛り上がりもなく、主義主張もなく、オチもなくという感じなのですが、長いときを堀田家ですごし、たくさんの思い出を持って亡くなったサチさんの語り口は、温かさと懐かしさが滲み出ていて素敵でした。

苦労してやっと家族構成をつかみましたし、まだまだフューチャーされていない家族もいるので、ぜひぜひ、続編を書いて欲しいです。サチが紺とだけは話せる、という設定も、あんまり生きていませんしね。

最後の1行でやっとわかったのですが、この小説、古き懐かしきホームドラマへのオマージュなんですね。たぶん、私が生まれる前か、生まれたばかりの頃、流行っていたあたりなんじゃないかな。浅田美代子や、天地真理が、アイドルだった時代のドラマのことでなんでしょうね。おそらく、30代の後半から40代の人が読むと、「あの頃」を思い出して、楽しめるのではないでしょうか。

新しくドラマ化っていうのも面白そうですね。吉永小百合は出てくれないでしょうけど。
| さ行(小路幸也) | 15:06 | - | - |
● ホームタウン 小路幸也
4344010302ホームタウン
小路 幸也
幻冬舎 2005-08

by G-Tools

ネタバレあり!

オススメ!オススメ!

ずっと同じ町に暮しながら、5年も会っていない妹・木実から「結婚します」という報告の手紙を受け取った柾人。複雑な心境でそれを受け取った直後に、妹、そしてその婚約者の失踪という事件が起こります。妹を探して、逃げ出してきた故郷・旭川に帰った柾人は、故郷の色々な人の協力を得て、妹を取り戻します。

柾人と木美は、柾人が中学生のときに、両親が殺しあう、という事件に合って故郷を出ました。二人は仲の良い兄妹でしたが、今もその事件を心の傷として引きずって生きており、「人殺しの血でつながっている」という事を意識してしまうために、素直に顔を合わせる事ません。その部分が、どうも、よくわかりませんでした。

自分の親が人殺しだったら、木実がそうだったように「自分の遺伝子を残してもいいのだろうか」と、悩む気持ちはわかります。(「殺人」は遺伝しないので、悩まなくていい、とは思うけど、悩む人の気持ちは理解できるということです。)でも、その血がつながっているからって、兄や妹に会えない、というのは理解できない。その過去のせいで恋人や婚約者とうまくいかなくなるというのならわかるけど、兄妹仲がおかしくなるなんて。深まるのなら、わかるけど。

まあ、そこだけではなく、全体的に、リアリティは皆無です。冷静に読むと、主人公の職業といい、魅力的な脇役たちの存在といい、ご都合主義の展開(あの狙撃とか…)といい、ありえないのひと言。そして暗い。どうしようもなく全体が暗い。

でも、この本が、今までの小路さんの作品の中では、一番完成度は高いと思います。事件の続きも、柾人と木実の過去も、気になってしまって一気に読んでしまいましたし、読み終わってみて振り返ってみても、とてもよくまとまっていました。事件としてはハッピーエンドだけど、柾人には木実よりも深い心の傷があることが明らかになり、小さな棘が残るラストです。彼のその後の人生が気になります(個人的に、柾人がタイプ!(笑)。この余韻もGood!。読み終わってから、タイトルについて考えると、また少し感動。

ここまでの感想文を読むと、とても誉めているようには見えない部分が多いけど、私はかなりこの本好きです。大好きな本に出会ってしまった…。
| さ行(小路幸也) | 21:17 | - | - |
● HEARTBEAT 小路幸也
4488017150HEARTBEAT
小路 幸也
東京創元社 2005-04-25

by G-Tools

ネタバレ注意!

と、一応書いておきますが、できるだけネタバレはしたくない小説です。

行方不明のかつての恋人を探す青年のストーリーと、あるお屋敷に死んだ奥様の幽霊が現れるという子供たちの噂。二つの縦軸が交互に語られる、ミステリー仕立ての小説です。ミステリ・フロンティアですが、ミステリー仕立てなだけで、ミステリーではありません。

優等生の委員長と不良少女がみつけた一億円という大金。ニューヨークの地下生活。お屋敷にでる幽霊の正体。たくさんの謎があり、解かれていきますが、それでもこれはミステリーとして評価してはいけません。これは、あえてジャンルをつけるとしたら、青春小説です。

オチが、本当にびっくりなんです。これは予想できませんでした。えーっって感じ。(わたしは、これまたオチがびっくりだった、とあるハリウッド映画を思い出しました…)

泣きたくなるような懐かしさと、切なさが残る小説。なんともいえない余韻があって、もう一度はじめから読みたくなります。
| さ行(小路幸也) | 22:25 | - | - |
■ Q.O.L. 小路幸也
4087753379Q.O.L.
小路 幸也
集英社 2004-08

by G-Tools

父親の形見として残された拳銃を、函館まで取りに行くことになった竜哉。それぞれの思惑から、その旅に同行することにした、同居人の公平とくるみ。この旅はどんな結末をむかえるのでしょうか?帯によると「痛みと癒しの青春ロードノベル」だそうです。

表向き3人は、明るく、楽しく、軽やかに生活しています。湘南の元別荘である広い家で、それぞれが好きな仕事、あるいは目標にしていた仕事につき、男2人女1人が、仲良く、詮索せず、束縛しあわず。ドラマの中にしかありえない様な、お洒落で、のびのびした暮らしぶりです。3人の様子や会話は、心地よく読めました。

しかしそんな3人にもそれぞれの過去があり、それが、それぞれの視点で語られていきます。みんな暗い家庭の事情だらけです。やたら家族に死なれてるし、愛人の息子だとか、DVとか、性的虐待とか。作中でそれらが明らかになった時、3人は「実はわたし達って似たもの同志だったんだね」などと納得していますが、読者としては、なんてご都合主義なんだ…と絶句です。

この本は、ストーリー全体的にも、びっくりするくらいご都合主義です。でも実は、それが「謎」の一部で、最後にすべてがわかると、ある程度は納得できたりします。(あくまでもある程度は、です)。

でも、面白いことは間違いないです。テンポよくハラハラさせてくれて、スピード感があって、一気に最後までひっぱってくれます。途中で読むのをやめられません。読後感も爽やかでした。

現実味のないお洒落な本。確かにこれはミステリーではなく「青春ロードノベル」ですね。
| さ行(小路幸也) | 13:59 | - | - |
■ 高く遠く空へ歌ううた 小路幸也
4062123533高く遠く空へ歌ううた
小路 幸也
講談社 2004-04

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なぜか死体を発見してしまうという特技(?)のある少年、ギーガン。まだ中学生だというのに、とうとう10人目の死体の第一発見者となってしまいました。今度の死体はギーガンの所属する合唱団でオルガンを弾いている根元さん。ギーガンは知らず知らずのうちに、事件に巻き込まれていきます。

という、ミステリーのはじまりは、すごく面白そうだったのですが。謎解きが、前作とまったく同じだったので拍子抜けでした。この本は「空を見上げる古い歌を口ずさむ」の続編なんですね。シリーズものなら、前作より少し多く、少し深く、謎が明かされていけば面白いのに。このシリーズはこれで終わりなのかな?だったら残念です。

ただ、ギーガンとルーピーの友情ストーリーにちょっと感動してしまったので、ここに感想を書きとめておきます。もともとルーピーは、猥雑で貧乏人の多い、差別されている地域に暮らしており、大人たちは「あそこの子とつきあってはいけない」というような環境にいます。それでも2人は偶然知り合って友達になったのですが、小学2年生の時、ルーピーが振ったバットがあたって、ギーガンの左目はつぶれてしまいました。それで「義眼」から、「ギーガン」というあだ名がついたんです。

その頃からギーガンは感情を自覚したり、表現したりできなくなってしまって、今も精神科に通っています。ルーピーはずっと罪悪感の塊で、ギーガンのためならなんでもすると心に誓っています。でもギーガンはルーピーが悪いとは思ってないし、ルーピーを利用しようとも思わない。2人はちゃんと友人なんです。なかなか会えないけど、会えるときは一緒に思いっきり遊ぶ。難しいことは話さないで、ひたすら遊ぶ。そういう2人がすごくいいし、そういう風に導いた、ギーガンのお父さんも偉い!

ルーピーだけじゃなくて幼馴染のケイトや野球チームのメンバー、柊先輩、鎌倉のばあちゃんなど、ギーガンの友達はみんな素敵でした。キャラという面では最高にいい本でした。
| さ行(小路幸也) | 13:50 | - | - |
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