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▲ 木漏れ日に泳ぐ魚 恩田陸
木洩れ日に泳ぐ魚木洩れ日に泳ぐ魚
恩田 陸

中央公論新社 2007-07

人は忘却する生き物です。そして、記憶を美化し捏造することで、なんとか前に進むのです。そんなテーマの小説だったのかなあ。自信無し。

恩田作品にしては珍しく、物語の導入部分をじれったいと感じてしまい、なかなかストーリーに入り込めませんでした。しかも、その先で明らかになる謎のほとんどを、ちょっと手前で予想できるような構成になっているので、サプライズもカタルシスもなく、読み終えてしまいました。

それに、いくら忘れたい記憶だから忘れようと思ったからと言って、ドラマティックで印象が強いはずのたった1年前の事件の日の記憶を、病気でもないのに2人揃ってここまで忘れているなんて、どうにも不自然すぎて受け入れられなかった…です。はい。

そうそう。千明は、千浩と父親の事を、「冷静で頭がよく、いつも自分の手を汚さない男。自分の偽善に気がつかないふりをしている男。」と非難していますし、私も、そのとおり!千浩め!最低!と思ったのですが…。うーん、この本を読む限りでは、たぶん千明も、本質的には似た性格のように思いました。近親憎悪かな。
| あ行(恩田陸) | 07:09 | - | - |
▲ 中庭の出来事 恩田陸
410397107X中庭の出来事
恩田 陸
新潮社 2006-11-29

by G-Tools
かなり凝った構成で、サクサクとは読めません。でも、それに没頭して否応なしに集中させられてしまうほど面白いかと言われると…個人的にはそうでもなかったりしました。誰が主役で、何が謎で、何が始まりで、何を目指しているのか、すべてが混沌としたまま、淡々と話が進んでしまい、途中で退屈に感じてしまいました。メモでもとりながら、冷静にじっくり理屈っぽい読書をすれば、きっと面白い本なんだと思います。電車の中で読むには向かない本でした。

| あ行(恩田陸) | 15:57 | - | - |
■ ねじの回転 恩田陸
ねじの回転―FEBRUARY MOMENTねじの回転―FEBRUARY MOMENT
恩田 陸

集英社 2002-12

処刑されたはずの二・二六事件の首謀者が、もう一度同じ時間をなぞって、事件を「再生」し「確定」しているシーンから物語は始まります。「再生」しなければならない史実と大きく異なる事態が発生すると、「不一致」が宣告され、時は止まり、戻り、「一致」するまで「再生」がくりかえされるのです。二・二六事件の顛末と、自分たちに待ち受けている悲劇を知っている3人の軍人は、なんとか少しでも違う結果を出したいとチャンスを狙っています。

時間遡行技術を手に入れた人類は、過去の忌まわしい歴史を改竄することができるようになりました。しかし、二・二六事件に介入した国連職員たちがしようとしているのは、改竄ではなく「確定」。誰がどんな意図で何をおこなっているのかわからない、すべてが曖昧なまま、物語は着々と進んでいきます。

王道のタイムトラベル小説の定石をきちんと踏まえた基本的なストーリーがありつつ、その上で、予想外の展開が次々から次におこる、本当に面白い小説です。この手のSF小説には必ずある、科学的な説明の部分(読んでもわからないので、私はたいてい読みとばす部分・・・)を、読みやすい造語で童話的に描いてしまっているのも、読みやすくて、上手い!と、思いました。

そして、それなのに、この小説は「硬派」なんですよね。そこがまた、いい感じなんです。この手の小説にありがちな、運命の恋人と時の流れにさえ逆らって結ばれて大感動とか、愛する人に待ち受ける辛い運命を止められなくて涙々とか、そういうエピソードはなしです。そのかわりに、二・二六事件に関わった軍人たちが、日本という国の将来とか、たくさんの部下の命を預かっている自分の指名とか、そういう真面目なことを考えている。未来からきた国連職員たちも、滅亡の危機にある人類を救いたいと、そればかり考えている。ちょっと古風で、クールで、かっこいい・・・「硬派」という言葉がぴったりの小説だと思います。私は好きです。

以前読んだときも、次に読むときは二・二六事件に関する詳しい知識を仕入れてからにしよう、と、思った記憶があるのですが、思うだけで・・・。またそれをしないままに、この本を再読してしまいました。それでも十分面白かったけど、二・二六事件をよく知っている人が読むと、もっと面白いんだと思います。次こそは!
| あ行(恩田陸) | 13:39 | - | - |
■ 六番目の小夜子 恩田陸
六番目の小夜子六番目の小夜子
恩田 陸

新潮社 1998-08

津村沙世子―とある地方の高校にやってきた、美しく謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、奇妙なゲームが受け継がれていた。三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、見えざる手によって選ばれるのだ。そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。
この本が最初に出版されたのは1992年で、私はまだ学生でしたが、今読んでも古さを感じないし、大人になった私が読んでも面白いし、本当に上手い小説です。読者を一時も飽きさせない構成も、クライマックスへ向けて盛り上げる展開も見事だし、文章も読みづらくない程度に情感豊かで、デビュー作とは思えません。

この本には、ミステリィ&ホラーのイメージをずっと持っていたのですが、これは全然ホラーではないし、あんまりミステリィでもありませんね。あらためて読みなおしてみると、ど真ん中の青春群像劇でした。ホラーにして恐怖を追及するなら、あるいは、ミステリィとして謎解きで読者を満足させたければ、クライマックスの後の物語のたたみ方は、まったく違う形になっていたことでしょう。これは、青春小説なんですね。

『夜のピクニック』がヒットしたときは、「恩田さんらしくない本が売れまくってるなあ。」という印象だったのですが、そんなことはありませんね。ちょっと少女趣味な青春小説は、立派に恩田さんらしさの1つだったんですよね。忘れていました。

恩田さんには、私のような素人にもわかるような上手さで、魅力的な小説を書くことは、最初から出来ていたんですね。ある意味、天才ですね。『六番目の小夜子』と『夜のピクニック』の間に書かれた、たくさんの恩田さんの小説の中には、ぶっちゃけ上手くないなあと思う作品もありました。でも、それは、確信犯だったんだろうなあと思ってしまいます。上手いだけではない、さらに高い次元で、別の魅力のある小説を目指して、どこかを故意に壊しているように思えます。
| あ行(恩田陸) | 17:47 | - | - |
■ 球形の季節 恩田陸
photo
球形の季節
恩田 陸
新潮社 1999-01

by G-Tools , 2006/05/10




再読。

谷津、という東北の町は、日本全国どこにでもありそうな、これといって特徴のない田舎町です。そこには4つの高校があるのですが、ある時その高校生たちの間に、「5月17日、遠藤さんが、連れて行かれる。」という奇妙な噂が広まります。4つの高校合同で活動をしている「地歴研」のメンバーが、興味本位で、その噂のルーツを探ろうと調査を始めますが、はかばかしい結果は得られません。そして、やってきたその日、実際に遠藤という女生徒が姿を消します。

続いて流れる別の噂、ひっそりと流行りだした金平糖のおまじない、谷津にいったい何が起こっているのでしょうか?「六番目の小夜子」のような学園小説の色合いを残しつつ、後半は「光の帝国」や「月の裏側」の流れにつながる世界観を感じさせてくれる1冊です。

高校生たちの感じている、自分の未来に対する漠然とした閉塞感や、故郷のに対する愛憎入り混じった複雑な気持ちは、よく描けているんじゃないかな?と、思いました。「地歴研」の活動を中心にすすむ前半は、とても楽しめました。

登場人物それぞれが最後におこす行動の違いには、それまでにしっかりと心情描写がされていたので説得力がありました。それを物語の結末と考えれば、綺麗に終っている本です。それぞれの決断までが描かれ、その後が描かれないこのラストは、余韻が残り嫌いではありません。

でも、「跳ぶ」とか「あの場所」とか「進む」とかいう言葉が、実際には何を意味しているのかわからないので、終盤は面白いとは言えず、そのあたりがあやふやなまま終ったので、そういう意味では、スッキリしないラストでした。謎が大量に残ったまま、別の次元で物語りは終ってしまう、恩田さんのよくあるパターンでした。昔からそうだったんだなあ・・・。
| あ行(恩田陸) | 23:01 | - | - |
■ ライオンハート 恩田陸
photo
ライオンハート
恩田 陸
新潮社 2000-12

by G-Tools , 2006/05/06




いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに会えて良かったと思うの。会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ…。
再読。日本人作家による外国が舞台で外国人が主役の本は、たいてい寒いと思うのですが、この本は大丈夫。メロドラマというのも、基本的に寒いものだと思うのですが、この本はSFなので大丈夫。恩田さんのこういうバランス感覚は本当にすごいなあと思います。

連作短編集です。短編は5つですが、各短編の合間に「プロムナード」と名づけられた、短いシーンが挟まる構成になっているので、物語は6つ。それぞれの物語に、エドワードとエリザベスがいます。深く思いあっているのに、いつも必ずすれ違ってしまう2人。時を越え、空間を越え、かならず出会い、一瞬の逢瀬の喜びと、辛い別れを繰り返す。美しくも悲しい、SFラブストーリーです。

初めてこれを読んだときは、すでに自分のHPで読書感想文をUPしていたので、そのデータがどこかにあるはずです。でも、なぜか見つかりません。たしか、それぞれの短編の表紙になっている絵画が、ぴったり合っていて素晴らしいということと、「運命的な恋」には乙女の1人として憧れずにはいられない、というようなことを、テンション高く書きあげた記憶があります。

なので、今回は、ちょっと違うことを書こうと思います。

・「エアハート嬢の到着」 1932年 ロンドン
・「春」 1871年 シェルブール
・「イヴァンチッツェの思い出」 1905年 パナマ
・「天球のハーモニー」 1603年 ロンドン 
・「記憶」 1855年 フロリダ 
・「プロムナード」 1978年 ロンドン 

第1話「エアハート嬢の到着」では、とにかく出会いの喜びを全身で表現するエリザベスが印象的です。初めての出会いなのでとまどうばかりのエドワードとの対比によって、エリザベスの喜びが余計に強調されています。別れのエピソードのインパクトも強くて、つかみにはピッタリの作品。

第2話「春」は、エドワード側から2人の出会いと別れを描いています。出会うことを待って待って待ち続けて、それでも、けして結ばれることはない、一瞬の逢瀬しか許されない、という、2人の運命的な恋の悲しい側面が強調されています。最初の2つの作品で、この本の幹がしっかり描かれました。

2人の物語が完全に脇に回っているミステリィ風の第3話「イヴァンチッツェの思い出」では枝葉が描かれて世界が広がり、第4話「天球のハーモニー」ではオリジナルのエリザベスとエドワードが登場して、しっかりと(?)根がはられます。「天球のハーモニー」から「記憶」までの150年の間にも、語れなかったエリザベスとエドワードの物語があるのかもしれませんね。

第5話「記憶」の美しい予定調和は、最後の物語にふさわしい爽やかさで、読者サービスといった感じ。これはこの本の、花、かなあ。「春」と「記憶」では、2人の年齢がつりあっています。一瞬の逢瀬を繰り返すのが運命である2人ですから、「記憶」の老夫婦のどちらかは、ラストシーンの直後に亡くなったのかもしれませんね。そして時間的には、「春」の2人に転生したってことになるのかな?と、思います。

これからも続いていく物語を予感させ、絶妙の余韻を作り出した「プロムナード」のラストは、この本の実であり、そして、読者の心にまかれた種だと思います。

タイムトラベルものですから、基本、なのかもしれませんが、やっぱり構成の妙というのが光る作品だったと思います。初読の時は、あんまりその辺りにこだわらずに、雰囲気重視でメロドラマを楽しんでしまったのですが、再読ではそこにやられました。この本は上手い! 

「イヴァンチッツェの思い出」は、単独では面白い作品だったのですが、全体からみると、ないほうがすっきりしたかもしれません。エリザベスとエドワードのメロドラマを追っていると、この作品が、全体の中だるみに感じられます。あるいは逆に、あそびの短編がもう2つ3つあると、作品に奥行きや、深みや、遊び心が出て、良かったんじゃないかなあ、と、思います。個人的には、後者を激しく希望しているので、外伝が出ないかなあ、と、期待したりして・・・。まあ、いくらなんでも、それは無理か。
| あ行(恩田陸) | 00:54 | - | - |
● チョコレートコスモス 恩田陸
photo
チョコレートコスモス
恩田 陸
毎日新聞社 2006-03-15

by G-Tools , 2006/04/04





舞台の上の、暗がりの向こう。そこには何かが隠されている。
どこまで行けばいいのか?どこまで行けるのか?
2人の少女が繰り広げる華麗で激しいバトルを描く、熱狂と陶酔の演劇ロマン。

bk1 内容説明より
わたしには、とっても楽しい読書でした♪

マンガネタを出しすぎると、過去のオタクぶりを露呈しそうなので、
自粛しよう、と、思っていた矢先、この本に出会ってしまいました。
この本は、マンガ「ガラスの仮面」を抜きにしては、語れない本なのです。

だって、どこを読んでも「ガラスの仮面」なんですよ。
演劇界を舞台に、女優たちが火花を散らす、という設定もそのまんまですが、
主要キャラクターなんて、背景、性格、心の動きまで、全部そのまんま。

ドラマを見るのが大好きだった、地味で大人しい少女が、
演劇に出会い、わずか数ヶ月で天才的な演技力を発揮して、プロの目に止まる。
天才演劇少女、飛鳥は、どう見ても、北島マヤです。

演劇一家に生まれサラブレッドと呼ばれて、子役時代から活躍してきた、響子。
才能と人脈がある上に、努力家で、訓練を積み重ねてきた、実力派女優。
最初は迷いもありますが、飛鳥に出会って演劇への情熱を目覚めさせます。
これは、どこからどう見ても、亜弓さんですよね。

響子が、飛鳥の才能を認めて、「あなた、誰?」って、聞くんです。
わたしは、「北島マヤだよ!」と、心の中でつっこみました。すばやかったです(笑)。

他にも、オーディションで響子に蹴散らされるアイドル女優だの、
素人の魅力を引き出す演出家だの、どこかで見たような人々が勢ぞろい。

エピソードも、コネタもかなりかぶっています。
風のエチュード、ハムレットのオフィーリア、梅の木、「真夏の夜の夢」、
天才の出演で壊れてしまう舞台、それを教訓に演技を合わせる事を知る飛鳥。
シンクロから始まり逆転する影の演技、二人の女優のためのオーディション。

ああ、これも、あれも、それも!そのまんまだ!嬉しい!

ずっとこんな感じでつっこみながら読んで、
「ガラスの仮面」が大好きなわたしは、心底楽しかったんですけど、
小説の読み方としては、間違っている・・・かな?

もちろん物語はオリジナルで、描写は、恩田さんらしく、臨場感たっぷり。
作中劇やオーディションの展開は、先が読めなくてハラハラするし、
「ガラスの仮面」を知らない人も、十分楽しめるエンターテイメントだと思います。

でも、明らかに、恩田さんは確信犯というか、狙ってるんだもんなあ。
「ガラスの仮面」とは関係なく、独自の演劇小説として読んで欲しい、
だなんて、これっぽっちも思ってないよね。
こんなにあからさまに、「あえて」「わざと」、ネタをかぶせてるんだから、
わたしみたいな読み方だって、あり、ですよね。ありです。(言い切り)

「ガラスの仮面」を連想させる小説であることは、
この本のマイナスポイントではないと思います。
私にとっては、そのおかげで楽しさ倍増!の、プラスポイントでした。
紫の薔薇の人が出てこなかったのが、残念です。

「チョコレートコスモス」の内容が、とても気になる。
そして、飛鳥の将来も、とても気になる。
演劇サークルのみんなとか、葉月ちゃんとか、魅力的な捨てキャラも多かったし。
続編希望です。
| あ行(恩田陸) | 11:50 | - | - |
● 恐怖の報酬日記 恩田陸
4062127636酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記
恩田 陸
講談社 2005-04-23

by G-Tools

紀行エッセイのはずですが、本全体の半分くらいが、「飛行機が恐い」という話です。「飛行機」と言うことすら嫌で、「あれ」「あの乗り物」と指示語で話す恩田さんに、大いに笑わせてもらいました。恐さのあまり、ただでさえ豊かな作家の妄想が炸裂していて、最高です。

成田エクスプレスの中で、恩田さんは、「助けて、千秋さま、お願い。」と祈るのですが、この「千秋さま」は、同じく飛行機恐怖症だった「のだめカンタービレ」の千秋です!

飛行機が離陸し、揺れ始めると、パニックは頂点に達し、恩田さんは、「ねえ、アルバート。いやよいやいや、こんなに揺れちゃいや。」と心の中でお願いするのですが、この「アルバート」は機長の名前です。そのうち、恩田さんは「下手糞!アルバート!帰れ!」などと言い出します。本当に笑えました。こんな調子で延々と、あっちに脱線、こっちに脱線しながらも、恩田さんがいかに「あの乗り物」が恐いかという話がひたすら続きます。そういうエッセイです(?)。楽しかったです!
私、エッセイは苦手なんですけど。
同じ枚数で、小説の三倍時間が掛かるんですけど。
これってすごく真実味があるなあ、と、思いました。恩田さんのエッセイが面白くないという意味ではなく、むしろ逆で・・・。面白すぎるんですよ。笑えるツボがたくさんあって、しかも恩田さんの幅広い見識をうかがえるトリビアも満載で、エピソードの一つ一つが濃いエッセイ。それに、終始テンションが高めで、なおかつ読者の反応をちゃんと計算した文章で、脚注までついていて、それがまた笑えて・・・これを書くには、ものすごくエネルギーが必要だと思います。でも、またエッセイ集、出して欲しいなあ。
| あ行(恩田陸) | 13:04 | - | - |
■ エンド・ゲーム 恩田陸 
4087747913エンド・ゲーム
恩田 陸
集英社 2005-12

by G-Tools

「光の帝国」の中の短編「オセロ・ゲーム」の拝島一家の物語です。「エンド・ゲーム」を読む前に「光の帝国」を読んだほうがわかりやすいと思います。それにしても・・・これは予告があった「暎子が失踪していた夫を取り戻す話」にはなっていませんよねー。まだ続編があるのかな?

正体不明の「あれ」に父を「裏返され」、母・暎子と「あれ」の存在におびえながら暮らす高校生の時子。しかし、会社の研修旅行先で母が倒れ、深く眠り続けて、目を覚まさずにいるという連絡が入ります。母は「あれ」に「裏返され」てしまったのでしょうか…?ジャンルで言うと、これはサイコサスペンスだと思われます。

時子は最強の潜在能力をもった、一族最後の人間です。物語の中で時子は、「あれ」におびえることのない普通の生活を送りたい、と、考える一方で、戦い続けてきた両親の人生や、自分の過去を否定する事も嫌だ、と、感じています。この迷う姿を見て、時子が大好きになってしまいました。こういう考え方は好きです。無力で、不安で、不便な自分を、それでも肯定しているんだから、心が芯のところで強いんでしょうね。素敵です。

常野物語のシリーズは、現代が舞台になるとこうなっちゃうのかあ・・・と、いうところが感慨深かったです。携帯電話、自動車、新幹線、コンピューター。数々の道具は、彼らの能力を、すべての人が簡単に使えるものにしてしまいました。そんな時代に彼らが在野に生きていたら、彼らはどんな人生を送ればいいんだろう。必要のない、異端視されるだけの能力を持って。

というわけで、「エンド・ゲーム」、面白かったです。けっこう複雑なプロットで、がんばったなあ、という印象。ラストは感動というより、やるなあ!やられたなあ!って感じでした。今まで、様々な事が、ただただ情緒的に処理されてきた常野物語のシリーズでは、異色の出来、と言えるかもしれません。

「光の帝国」は、大好きな本です。常野物語のシリーズ、もっともっと書いてほしいなあ。一族の歴史と言えるほどの大シリーズになってほしいです。
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| あ行(恩田陸) | 05:27 | - | - |
■ ネクロポリス 恩田陸 
4022500603ネクロポリス 上
恩田 陸
朝日新聞社 2005-10-13

by G-Tools

4022500611ネクロポリス 下
恩田 陸
朝日新聞社 2005-10-13

by G-Tools

評価保留。要再読。
死者が現われる土地・V.ファーで起こる連続殺人、そして「ヒガン」という不可思議な儀式。東洋と西洋、過去と現在、生と死、あらゆる境界線が揺らぐ世界観を、いまだかつてないスケールで描き、ミステリーとファンタジーの融合を果たした恩田陸の最高傑作!
だそうです。最高傑作かどうかはともかく、確かに今までの恩田作品の良いところが、もれなく入っている感じ。そして、悪いところも、もれなく入っている感じ・・・(笑)

装丁がすごくすてきなんですよね。上下巻で1つの絵となる表紙は、もちろんV.ファーなんだと思います。内表紙も最高です。

でも意外なことに、本文を読みながら、V.ファーを視覚的にイメージできるまでに、私はかなり時間がかかりました。あ、つかめたかな、と思ったのは、下巻に入ってからです。どうしてか、なかなか、物語世界に入り込めませんでした。恩田さんの本では、あまりなかったことです。今まで恩田さんの本には、まずイメージと雰囲気で、ぐっと引き込まれてしまうことが多かったのですが・・・。

つかめてしまうと、V.ファーは、確かにすごい世界でした。独創的で魅力的。こんな世界を構築できる恩田さんはすごい!

だけど・・・。世界が壮大なわりには、物語がしょぼいかな、と、いう印象。長い本だし、登場人物も多いから、中だるみはしょうがないよな、って思ったんですけど・・・そのまま最後まで、あんまり盛り上がらなかった。もう少し、起承転結の、結、の部分にページを割いても良かったんじゃないかなあと思います。たくさんの謎の答え自体もあっけないんですけど、その提出方法もあっけない。なんかもうちょっと盛り上がるような演出を、最後にできたんじゃないかと思います。恩田さんなら。

まあ、つまり、恩田ファンであるわたしは、大作に期待しすぎたのでしょうね。それから、仕事の忙しいシーズンに細切れに読んだので、休日に一気読みしたら、違う感想になるような気もします。再読しなくちゃリストの上のほうに入れておきたいと思います。というわけで、評価保留です。
| あ行(恩田陸) | 23:27 | - | - |
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